AI概要
【事案の概要】 本件は、金銭に困窮した被告人2名が、犯罪組織の指示役から強盗案件の紹介を受け、他の実行犯役の共犯者らとともに2件の住居侵入強盗に及んだ事案である。 第1事件(稲城事件)では、令和4年10月20日午後、被告人らは共犯者らと共謀の上、東京都稲城市の被害者方に宅配業者を装って侵入し、はさみを振りかざして被害者らを床に押し倒し、手首を粘着テープで緊縛するなどの暴行を加えて反抗を抑圧した上、現金約3541万2000円、外国通貨、商品券、金塊等が入った金庫2個(時価合計約864万1780円相当)を強取し、被害者1名に加療約10日間の左下腿打撲傷等の傷害を負わせた。 第2事件(岩国事件)では、稲城事件からわずか3週間足らず後の同年11月7日深夜、山口県岩国市の被害者方に無施錠の窓から侵入し、カッターナイフを示しながら被害者3名を脅迫し結束バンドで緊縛するなどの暴行を加えたが、被害者らの抵抗に遭い、金品の強取には至らず未遂に終わった。いずれの犯行も、被害者宅に多額の金品があるとの情報提供に基づき、指示役が実行犯役を募り、凶器や逃走車両等を周到に準備して行われた組織的かつ計画性の高い犯行であった。 【争点】 稲城事件における被害金品の在中の有無及び被害額が争点となった。弁護人は、金庫内の現金等に関する被害者Gの証言が不合理であいまいであり、被害現金の存在や金額の証明が不十分であると主張した。裁判所は、Gの証言が具体的なエピソードを伴い、金庫の在中物を定期的に確認するなど意識的に管理していたこと、被害金品の申告に変遷がないこと、多くの被害品が他の証拠で裏付けられていることから、証言全体の信用性を認めた。また、犯行後に実行犯役にそれぞれ百数十万円の報酬が分配され、共犯グループに約1500万円が渡された事実も、被害額に関する証言と整合すると判断した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人両名の役割が現場での実行犯のまとめ役であり、下見を行い、犯行中も自らの判断で積極的に行動するなど相応に重要であったと認定した。稲城事件の被害額は現金と金品を合わせて約4500万円近くに及び、被害弁償は一切なされていない。被害者らの精神的苦痛は大きく、処罰感情も厳しい。他方、被告人両名は基本的な事実関係を認めて謝罪の言葉を述べていること、前科がないこと、被告人Aは捜査段階で事案の真相解明に協力していること、被告人Bは更生に向けた前向きな姿勢を示していること等の事情も考慮し、求刑懲役12年に対し、被告人両名をそれぞれ懲役9年に処した。