損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(元信者)が、被控訴人(宗教法人)の信者から違法な勧誘を受け、聖本代金1億2000万円、天運石代金2000万円、天聖経代金2150万円、石板代金90万円等の献金をさせられたとして、不法行為に基づく損害賠償請求権により1億8194万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。被控訴人は、控訴人との間で平成27年6月5日付けの合意書において「将来にわたり献金等返還請求・損害賠償請求など裁判上・裁判外を問わずいかなる請求も行わない」旨の不起訴合意が成立しているとして訴えの却下を求めた。原審は、同不起訴合意が有効であるとして訴えを却下したため、控訴人が控訴した。 【争点】 不起訴合意の成否及び有効性(公序良俗違反の有無)。 【判旨】 原判決取消し・差戻し。東京高裁は、本件不起訴合意は公序良俗に反し無効であると判断した。その理由として、第一に、本件合意書は宗教法人への貸付金に関する清算を主目的とするものであり、それとは無関係の献金返還請求等について、紛争が顕在化していない段階で一方的に不起訴合意をさせたもので、本来の不起訴合意の目的を逸脱すること、第二に、控訴人は合意書作成当時、なお被控訴人の心理的影響下にあったこと、第三に、被控訴人の弁護士を含む関係者が控訴人に対し不起訴合意の法的意味や献金返還請求の意思の有無を確認した事実が認められないこと、第四に、控訴人側は不起訴合意により一切の請求ができなくなる一方、被控訴人側は別途作成した債務承認弁済契約書により1875万円の債権を保持しており、明らかに均衡を欠くこと、第五に、5億円を超える献金のうち1億6240万円の請求について裁判所の判断を受ける機会すら失わせるもので正義に反することを挙げた。以上から、本件不起訴合意は合理性・相当性を欠き著しく不利益な内容であるとして公序良俗違反により無効とし、本案について審理を尽くさせるため東京地裁に差し戻した。