AI概要
【事案の概要】 本件は、「トレーニング器具」に関する特許(特許第3763840号)について、原告(コモライフ株式会社)が請求した特許無効審判の不成立審決の取消しを求めた訴訟である。本件特許は、一対の第1グリップ部と一対の第2グリップ部によりループ状に形成されたトレーニング器具に関するもので、第2グリップ部が正面から見て弓形に湾曲し、中央部分が窄まり状に形成されている点を特徴とする。被告(有限会社MAKIスポーツ)が特許権者であり、原告は、米国特許(甲1)に記載された上腕三頭筋運動具の発明との関係で新規性及び進歩性を欠くとして3つの無効理由を主張した。 【争点】 (1) 甲1記載の発明を主引用発明とする新規性欠如の有無(取消事由1)。特に、甲1記載の上腕三頭筋運動具からバー10のみを引用発明として認定できるか、及び「弓形に湾曲」の意義が台形を含むか。 (2) 甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性欠如の有無(取消事由2)。甲1発明に甲2技術事項(円弧状の長辺を持つトレーニング器具)を適用する動機付けの有無。 (3) 甲2技術事項を主引用発明とする進歩性欠如の有無(取消事由3)。甲2技術事項の中央部分を窄まり状にする動機付けの有無。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。 まず取消事由1について、甲1記載の上腕三頭筋運動具において、バー10は重量支持プラットフォーム等と物理的に一体であることが前提であり、バー10のみが独立して運動器具としての作用効果を奏することは甲1に記載も示唆もないとして、バー10のみを引用発明と認定することはできないと判断した。そのため、本件発明1と甲1発明との間には、支持及びクランプアセンブリの有無に係る相違点3が存在し、新規性を欠くとはいえないとした。 取消事由2について、甲1発明から支持及びクランプアセンブリを取り外す動機付けはなく、むしろ阻害要因があるとして、相違点3に係る構成の容易想到性を否定した。 取消事由3について、甲2技術事項は内側の部材4・5を持ち手の幅を狭くして使用する器具であり、中央部分を窄めることで解決される課題を有しておらず、窄まり状とする動機付けはないと判断した。以上より、3つの取消事由はいずれも理由がないとして、審決を維持した。