傷害致死、死体遺棄、暴行、監禁、詐欺、偽造有印私文書行使
判決データ
- 事件番号
- 令和4わ334
- 事件名
- 傷害致死、死体遺棄、暴行、監禁、詐欺、偽造有印私文書行使
- 裁判所
- さいたま地方裁判所
- 裁判年月日
- 2023年11月24日
AI概要
【事案の概要】 被告人は、埼玉県本庄市の自宅において、同居していた高齢者Dが平成29年9月頃に死亡したにもかかわらず死亡届を出さず、約4年半にわたり老齢基礎年金・遺族厚生年金合計約1140万円及び年金生活者支援給付金約14万円を詐取した(第1事件)。また、被告人は、令和3年1月頃から自宅に受け入れた知人Aとその長男C(当時4〜5歳)及び内縁の夫Bと同居する中で、Cに対し「しつけ」と称して、平手打ち、蹴り、逆さづり、プラスチック製樽に入れて回転させる、猫用ケージに閉じ込めるなどの虐待行為を繰り返した(第2〜第10事件)。そして令和4年1月18日、被告人がA及びBに対しCを投げ倒す暴行(「相撲」と称していた)を指示したところ、Bに投げ倒されたCが後頭部打撲による脳幹損傷で死亡した(第11事件)。被告人らはCの遺体に防虫脱臭剤を撒き、自宅床下に埋めて遺棄した(第12事件)。 【争点】 第11事件(傷害致死)について、被告人が傷害致死の共同正犯としての責任を負うか、それともAによる暴行の限度で責任を負うにとどまるかが争われた。弁護人は、BがCを持ち上げて背面から畳に投げ倒した暴行はこれまでの「相撲」とは一線を画する危険なものであり、被告人が容認していたものではないから共謀がないと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人がBもいる場でAに「相撲」を促し、さらにBにも「相撲」を促したことで、被告人ら3名はCを投げ倒す暴行を行う意思を相通じたと認定した。Bの暴行の強度がそれまでより高かったとしても、もともと受け身の取れない年齢の幼児に対する「相撲」自体が相当危険であり、2日前の暴行ではヘッドキャップまで着用させていたこと、力の勝るBに「相撲」を促せばAより強度に転倒させ得ることは被告人も認識していたとして、Bの暴行は共謀の範囲内と評価した。A・B両名の証言は主要部分で一致し信用でき、被告人の公判供述は捜査段階からの変遷に合理的説明がなく信用できないとした。量刑については、被告人が一連の虐待行為を主導し、その指示により傷害致死が生じたこと、年金詐欺も含め犯行全体が児童虐待による傷害致死の同種事案の中でも特に重い部類に属すること、不合理な弁解に終始し真摯な反省が認められないことを考慮し、求刑懲役15年に対し懲役13年を言い渡した。