AI概要
【事案の概要】 原告は、被告(東京エレクトロン株式会社)の元従業員であり、在籍中にプローブ装置に関する発明(半導体ウエハの電極パッドにプローブ針を接触させる際に載置台を微移動させて接触抵抗を低下させる技術)を行った。原告は、当該発明は職務発明に該当しないにもかかわらず被告が特許を受ける権利を承継して特許出願・登録を受けたとして、主位的に不当利得返還請求(5000万円)及び特許権の持分100分の99の移転登録を求めた。予備的に、仮に職務発明であるとしても旧特許法35条3項に基づく相当の対価(5000万円)の支払を求めた。 【争点】 1. 本件各発明が職務発明に該当するか(主位的請求の前提問題) 2. 被告が本件各発明を実施したか否か及び相当の対価の額(予備的請求) 3. 相当対価支払債務の消滅時効の成否 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点1(職務発明該当性)について、裁判所は、職務発明とは発明をするに至った行為が従業者の職務に属する発明であり、当該従業者の地位・職種・職務内容等の諸般の事情に照らし、当該発明をすることが職務上予定され期待されている場合に認められると判示した。原告はプローブ装置を担当する部署で8級職として勤務し、「テクニカル・サポートエンジニア」として機器の技術的な性能評価・分析・改善等の業務を担当していた。原告が業務の中で顧客要求や自らの検討によって発見した製品課題を解決する方法を検討して本件各発明に至ったことは、原告の職務として予定され期待されていたと認められるから、本件各発明は職務発明に当たるとした。原告は課題解決は工場技術者の職務であると主張したが、裁判所はこれを排斥した。 争点2(相当の対価)について、裁判所は、原告が被告の実施品として主張したプローブ装置について詳細に検討した。原告は、被告の別件特許1及び別件特許2の構成を備える装置が本件各発明の改良発明であり技術的範囲に属すると主張した。しかし裁判所は、本件発明1はZ軸方向の移動が完了しプローブ針が酸化膜に接触した状態でZ軸方向への移動をせずにX軸・Y軸・θ軸方向に微移動させるものであるのに対し、別件各発明はオーバドライブ時にX・Y方向とともにZ方向にも移動させることを前提としており、技術的範囲に属するとは認められないと判断した。また、SPO162番ソフトウェアが実装された国内C社向けプローブ装置についても、販売時点では当該機能がアクティブ化されておらず、被告が独占の利益を得たとは認められないとした。以上により、相当の対価の算定の基礎とすべき売上げがあるとは認められず、予備的請求も理由がないとした。