AI概要
【事案の概要】 被告法人Aは、癌及び難病患者への支援に関する事業等を目的として設立されたNPO法人であり、被告人Bはその実質的責任者であった。被告人は、被告法人の業務として、厚生労働大臣の許可を受けないまま、インターネット上にホームページを開設して臓器移植希望患者を募集し、業として臓器のあっせんを行った。具体的には、①慢性腎臓病患者Cに対し、ベラルーシでの渡航移植を勧め、1850万円を振り込ませた上、ベラルーシの病院に案内して腎臓の移植手術を受けさせた。②肝硬変患者Gに対し、その親族を通じて渡航移植を勧め、3300万円を振り込ませた上、ベラルーシのセンターで肝臓の移植手術を受けさせた。いずれも死体から摘出される臓器の提供を受けることのあっせんであり、臓器の移植に関する法律(臓器移植法)違反として起訴された。 【争点】 弁護人は、①臓器移植法12条1項の「業として行う臓器のあっせん」は日本国内で行われる移植術に係るあっせん行為のみを指し、国外での移植術に係るあっせんは含まれない、②同項の「あっせん」は臓器提供者側と移植希望者側の双方から依頼を受けた同一の者による仲介行為を要するところ、被告人は移植希望者と移植実施施設との間の仲介を行ったにすぎないとして、無罪を主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、いずれの争点についても弁護人の主張を排斥した。①について、国外の移植術に関するあっせん行為の一部又は全部が国内で行われる限り、臓器売買や有償あっせんによる臓器提供の任意性の喪失、移植を受ける機会の公平性の毀損、移植の適正な実施の不確保、プライバシー保護や術後の継続医療への支障といった弊害が生じかねないことから、臓器移植法12条1項の許可が必要であると判示した。②について、同項は「臓器を提供すること又はその提供を受けることのあっせん」と規定しており、募集・登録や医療機関との連絡調整等の行為も「あっせん」に含まれるとした。量刑については、組織的に国外移植を援助し移植を受ける機会の公平性を大きく損なった点で責任は軽くないとしつつ、国内移植医療の実状を踏まえた助力であること、活動に謝意を示す者がいること、営利性は認められないこと等を考慮し、被告法人を罰金100万円、被告人を懲役8月の実刑とした(求刑:被告法人につき罰金100万円、被告人につき懲役1年及び罰金100万円)。