AI概要
【事案の概要】 原告は、「エンリケ」の芸名で活動し、日本一の売上げを誇るキャバクラ嬢として広く知られた人物である。原告は、元夫である訴外Bが経営に関与する被告ら3社(株式会社エンリケ空間、株式会社エンリケスタイル、株式会社エンリケスタッフ)に対し、パブリシティ権に基づき、原告の肖像及び「エンリケ」の名称の使用差止め、ウェブページからの削除、ドメイン名の削除、商号登記の抹消登記手続を求めた。原告と訴外Bは平成31年に婚姻し、原告は被告エンリケ空間の代表取締役に就任していたが、令和4年10月に離婚し、代表取締役も辞任した。被告らは、各社のホームページやインスタグラムにおいて原告の肖像写真を全面的に使用し、「エンリケ」を含む標章やドメイン名を多数使用して、内装設計、エステ、オンラインショッピング等の事業を展開していた。 【争点】 1. パブリシティ権侵害の成否(原告名称・肖像の顧客吸引力の有無及びピンク・レディー判決の3類型該当性) 2. 原告による名称使用の同意の有無 3. 権利濫用の成否 4. 差止め及び廃棄請求の可否 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。まず顧客吸引力について、原告が2日間で1億円超、引退式4日間で5億円の売上げを達成したこと、著書累計15万部突破、テレビ番組20本以上出演、インスタグラムフォロワー66万人超という事実から、原告は単なるキャバクラ嬢にとどまらず広く社会に認知された存在であり、原告名称及び肖像には顧客吸引力があると認定した。被告らの使用態様については、全てのサービスにエンリケというブランド価値を全面に押し出し、商号・標章・ウェブページ・ドメイン名において原告名称又は肖像を付していたことから、ピンク・レディー判決の第2類型(専ら商品等の差別化を図る目的での使用)に該当し、パブリシティ権侵害が成立するとした。原告の同意については、被告らが同意の時期・内容等を具体的に主張しておらず、離婚時に訴外Bが原告名称を使用しない旨述べていたことからも、現在まで同意が継続している事実は認められないとした。権利濫用の主張についても、被告らがパブリシティ権侵害を認めず誠実な協議もしていないことから、本件請求はパブリシティ権の正当な行使であるとして排斥した。