特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「幼児用サークル」に関する特許権(特許第6914521号)を有する原告(株式会社日本育児)が、被告(株式会社カトージ)に対し、被告製品が本件特許発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項・2項に基づく製造・販売等の差止め及び廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償金713万3100円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件特許発明は、環状に配置され内側に傾斜する複数の縦枠と、メッシュ部を有する側面シートと、非伸縮性の底面シートを備え、各縦枠の下端部分が底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定されて外側への移動が制限される構成の幼児用サークルに関するものである。被告は、構成要件の非充足のほか、被告が平成17年頃に販売していた米国GRACO社製プレイヤード(本件プレイヤード)による公然実施に基づく新規性欠如等の無効理由を主張した。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(特に構成要件Aの「内側に傾斜」及び構成要件Eの「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定」の充足性)、(2)本件プレイヤードに基づく新規性欠如の有無、(3)原告による訂正の再抗弁の成否である。 【判旨】 裁判所は、まず構成要件の充足性について、被告製品の縦フレームが内側に2〜4度傾斜していることから構成要件Aを充足し、縦フレーム下端部分が底面シートの頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されていることから構成要件Eも充足するとして、被告製品は本件発明の技術的範囲に属すると判断した。しかし、無効理由の検討において、被告が平成17年頃にカタログに掲載して販売していた本件プレイヤードが本件発明の各構成要件を充足し、本件特許出願前に公然実施された発明に該当すると認定した。さらに、原告が訂正請求により追加した「接続テープの取外し可能」及び「側面シート・底面シートの取外し可能」の構成要件についても、本件プレイヤードのタッピングねじによるねじ止めは構造上も実際上も取外し可能であるとして相違点を認めず、訂正の再抗弁は成り立たないと判断した。以上から、本件発明は新規性を欠き無効とされるべきであるとして、原告の請求をいずれも棄却した。