法人税更正処分等取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、車両過給機(ターボチャージャ)の製造販売を世界展開する内国法人(原告)が、タイに設立した国外関連者(A社)との間で行った部品輸出取引、無形資産取引(特許権・ノウハウの使用許諾)及び役務提供取引(技術支援)について、α税務署長が移転価格税制に基づく更正処分等をしたため、その取消しを求めた事案である。税務署長は、A社の売上高に、タイの上場自動車部品メーカー2社(比較対象法人)の売上高営業利益率を乗じて適正営業利益を算出し、取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法(本件算定方法)により独立企業間価格を算定した。原告は、本件算定方法は取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法に該当しないなどと主張して争った。 【争点】 主な争点は、(1)本件算定方法が取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法といえるか、(2)本件算定方法が独立企業間価格を算定するための最も適切な方法か、(3)再調査の適法性、(4)更正通知書の理由付記の適否であった。 【判旨】 裁判所は、争点(1)について詳細に検討し、原告の請求を全部認容した。まず、複数の国外関連取引が相互に密接に結びついている場合に、これらを一体の取引として取り扱って独立企業間価格を算定する方法は、取引単位営業利益法の考え方から乖離しないと判示した。本件では、部品輸出・無形資産・役務提供の各取引が不可分に結びついており、一体として取り扱うことは許容されるとした。しかし、比較可能性の検討において、A社がタイの車両過給機市場で高い市場占有率を有し、同市場では需要が供給を上回る状況にあったのに対し、比較対象法人の製品市場ではそのような事情が認められないという市場の状況の差異は、売上高営業利益率に重要な影響を与えるものであり、かつその差異の影響を取り除くための相当程度正確な調整もできないとして、A社と比較対象法人との間に比較可能性がないと結論づけた。その結果、本件算定方法は取引内容に適合した合理的な方法とはいえず、独立企業間価格が過大に算定されているとして、本件各更正処分及び賦課決定処分をいずれも取り消した。