在留資格変更不許可処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 エチオピア国籍の外国人家族4名(父、母、長男、三男)が、東京出入国在留管理局長に対してした在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請に関する事案である。父は、エチオピア政府の要請を受けたJICAのABEイニシアティブにより平成28年9月に在留資格「留学」で来日し、大学院で修士号を取得した。母と長男は平成29年9月に在留資格「家族滞在」で来日し、三男は日本で出生した。父は修士課程修了後、在留資格に該当する活動を行わなくなった後の令和元年6月に難民認定申請を行い、母と子らも同年7月に申請した。原告父母は令和2年3月に「特定活動(就労可)」への在留資格変更を申請したが、平成30年1月から施行された難民認定制度の運用見直し(本件運用)に基づき、東京入管局長は、原告父母が難民該当可能性の高い申請者等に当たらず、かつ本来の在留活動を行わなくなった後に難民認定申請をした就労制限対象者に該当するとして不許可処分をした。また、原告子らの在留期間更新許可申請についても、原告父母が不法残留となることを理由に不許可処分をした。さらに、在留期間満了後に原告らの代理人弁護士が行った在留期間更新許可申請も受理されなかった(本件不受理行為)。 【争点】 ①本件各在留資格変更不許可処分の適法性(争点1)、②本件各在留期間更新不許可処分の適法性(争点2)、③本件不受理行為の処分性(争点3)。争点1では、本件運用自体の合理性、原告父母への適用の適法性、及び令和2年5月14日に処分したことの信義則違反の有無が問題となった。争点2では、原告子らの在留資格該当性と在留期間更新の相当性が、争点3では在留期間満了後の申請の受理拒否が行政処分に該当するかが問題となった。 【判旨】 裁判所は、争点1について、本件運用は難民認定申請の急増に対応するための合理的な制度であり、原告父母について難民該当可能性の高い申請者等に当たらないとした判断に裁量権の逸脱・濫用はないとした。原告父母が本国で逮捕・起訴されていないこと、エチオピア政府の要請により来日したこと、来日後に複数回帰国していること、入国から約2年9か月後に難民認定申請をしたこと等を総合考慮すれば、東京入管局長の評価が明白に合理性を欠くとはいえないと判断した。また、令和2年5月14日の処分についても、2時間以上にわたり申請変更申出の案内を繰り返したにもかかわらず原告父母が一貫して拒否した事情に照らし、信義則違反はないとした。 他方、争点2については、原告子らは難民認定申請者として日常的な活動を行っていたのであるから、在留資格該当性がないとした判断は重要な事実の基礎を欠くとした。さらに、原告父母は難民認定申請中であり、不法残留となっても送還が停止されるため、相当期間本邦に在留して子らを監護養育することが入管法上想定されていたにもかかわらず、原告父母が不法残留となることのみを理由に子らの在留期間更新を認めなかったことは、考慮すべきでないものを考慮した裁量権の逸脱・濫用であり違法であるとして、原告子らの在留期間更新不許可処分を取り消した。 争点3については、在留期間を満了した外国人には在留期間更新の申請権がなく、本件不受理行為は行政処分に該当しないとして、当該部分の訴えを却下した。