損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人が、指定暴力団Aの三次団体の幹部である被控訴人Bから、暴力団の威力を示してみかじめ料の支払を要求され、平成17年10月頃から平成28年8月頃までの間に合計10回にわたり金銭を交付させられたとして、被控訴人Bに対しては不法行為に基づき、Aの組長である被控訴人Cに対しては使用者責任又は暴対法31条の2に基づき、連帯して1073万6000円の損害賠償を求めた事案である。原審は47万円の限度で認容したが、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)各徴収行為の違法性、(2)被控訴人Bの被用者性・事業執行性、(3)損害額、(4)消滅時効の成否、(5)消滅時効の援用が信義則違反又は権利濫用に当たるかである。特に、約11年にわたる複数回の金銭徴収について、各交付時を起算点とする消滅時効が完成しているか、また、暴力団の威力による継続的な畏怖状態の下で時効援用が権利濫用に当たるかが中心的争点となった。 【判旨】 控訴審は、まず本件徴収行為1(平成17年の組事務所立上げ費用300万円)については、当時控訴人が被控訴人Bを畏怖していたとはいえず、暴力団の威力を利用した資金獲得行為とはいえないとして不法行為の成立を否定した。徴収行為2から10までについては違法性を認めた。消滅時効については、控訴人は各金銭交付時点において損害及び加害者を認識しており、事実上賠償請求が可能な程度にこれらを知っていたとして、各交付時から時効が進行するとした。しかし、控訴人が被控訴人Bやその配下から継続的に脅迫を受け、報復を恐れて賠償請求や警察への相談すらできない状態に置かれていたこと、弁護士に相談した際も警察への相談という助言に従えず借用書の作成が精一杯であったこと等を認定し、このような状態は被控訴人らの違法な徴収行為自体及びそれを利用した資金獲得活動が原因であるとして、被控訴人らによる消滅時効の援用は権利濫用(民法1条3項)に当たり許されないと判断した。損害額については、財産的損害596万円から損益相殺15万円を控除した581万円、慰謝料100万円、弁護士費用70万円の合計751万円を認容し、原判決を変更した。