AI概要
【事案の概要】 逗子市所在のマンションの敷地の一部である斜面地が令和2年2月5日に崩落し、通行人1名が死亡した事故に関し、マンション管理組合(原告組合)及び区分所有者ら(原告区分所有者ら)が、分譲販売会社、販売代理店、設計会社及び管理会社の4社に対し、民法709条・710条(管理会社については選択的に債務不履行)に基づき、連帯して損害賠償を求めた事案である。斜面地は市道から約15.9mの高さがあり、風化により地盤強度が低下していた。分譲販売時に地質調査報告書(本件報告書)が作成され、風化の進行や植生維持管理の必要性が指摘されていたが、管理会社はその内容を確認せず、斜面地の適切な管理を怠っていた。崩落前日には管理員が亀裂を発見したが、管理組合への報告はなされなかった。 【争点】 1. 販売会社の不法行為責任の有無(風化対策義務・説明義務違反) 2. 販売代理店の不法行為責任の有無(説明義務違反) 3. 設計会社の不法行為責任の有無(調査・風化対策義務違反) 4. 管理会社の不法行為責任又は債務不履行責任の有無(維持管理義務・助言義務違反) 5. 原告らの損害額 【判旨】 裁判所は、管理会社のみに不法行為責任を認め、原告組合に対し4193万3800円(土砂撤去費用、交通誘導員配置費用、復旧工事設計費用、応急復旧工事費用等の合計3812万3800円及び弁護士費用381万円)の支払を命じた。販売会社については、本件報告書の記載内容からは風化対策義務や説明義務は導かれないとして責任を否定した。販売代理店及び設計会社についても同様に責任を否定した。管理会社については、販売会社から斜面地の植生維持管理の必要性を記載した書面及び本件報告書を受領しており、その内容確認は容易であったにもかかわらず確認を怠り、管理組合に対する助言義務及び斜面地の安定保護を損なう行為を避ける義務に違反したと認定した。管理会社が植生の維持管理を行わず、むしろ樹木の伐採や除草を行ったことが風化の進行を助長したと判断した。区分所有者ら個人の損害(マンション価値下落・慰謝料)については、復旧工事が完了しており具体的な価格下落を認めるに足りる証拠がないとして棄却した。