行政処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(米国所在のソフトウェア・IT関連外国法人)は、特許第5281402号の特許権者であったが、第6年分の特許料等を納付期間内(平成30年5月31日まで)に納付せず、追納期間(同年11月30日まで)にも納付しなかったため、同特許権は消滅したものとみなされた。原告は、特許法112条の2第1項の「正当な理由」があるとして特許料納付書を提出したが、特許庁長官はこれを却下した(本件却下処分1)。原告は審査請求を行ったが棄却され(本件裁決)、その後提出した第8年分ないし第10年分の特許料納付書もそれぞれ却下された(本件却下処分2ないし4)。原告は、本件各却下処分及び本件裁決の取消しを求めて提訴した。 【争点】 1. 特許料の追納期間徒過について特許法112条の2第1項の「正当な理由」があるか 2. 本件各却下処分の違法性 3. 本件裁決の違法性(審理不尽・理由付記の不備の有無) 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点1について、「正当な理由があるとき」とは、原特許権者(代理人を含む)として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて追納期間内に特許料等を納付することができなかったときをいうと解した上で、本件では以下の理由から正当な理由を認めなかった。第一に、本件担当弁理士らは、米国年金管理会社から送付された支払確認リストを照合し、本件特許権の特許番号の左余白にチェックマークを記載して未納を認識していたにもかかわらず、米国年金管理会社への報告時にこれを見落とし報告しなかった。通常の注意を払えばチェックマークを正確に反映した報告は容易であった。第二に、米国年金管理会社から送付された電子メールには、当初の特許料納付リストが不正確であったこと及びリストから漏れた料金の支払済みの確認を求める記載があったにもかかわらず、担当弁理士らはこの確認作業を行わなかった。原告が主張する二重・三重のチェック体制についても、具体的なチェック方法を認めるに足りる証拠はなく、仮にそのようなチェックを行っていたとすれば、チェックマークを見逃すとは考え難いとして、相応の措置が講じられていたとは認められないと判断した。 争点2・3についても、正当な理由が認められない以上、各却下処分は適法であり、裁決にも審理不尽や理由付記の不備は認められないとした。