損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 感染症専門医である原告が、ツイッター(現「X」)上で被告らから名誉感情及び名誉権を侵害する投稿をされたとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた2件の事案である。第1事件では、被告が令和4年9月から令和5年1月にかけて15回にわたり、原告に対し「人殺し」「ヤブ医者」「犯罪者」等と投稿した。第2事件では、被告Aが「犯罪者」、被告Bが「人殺し」とそれぞれ1回投稿した。原告は発信者情報開示命令の申立て及び間接強制を経て、弁護士会照会により被告らを含む17名を特定した。原告は各被告に対し110万円(慰謝料100万円、調査費用13万9109円、弁護士費用11万3000円の合計125万2109円の一部)及び遅延損害金の支払を請求した。 【争点】 ①本件各投稿が名誉権ないし名誉感情を侵害する不法行為に該当するか、②損害額(慰謝料、発信者特定のための調査費用、弁護士費用)はいくらか。 【判旨】 裁判所は、いずれの事件においても不法行為の成立を認めた。第1事件について、「人殺し」「犯罪者」との投稿は名誉権侵害、「ヤブ医者」との投稿は名誉感情侵害に当たると判断した。慰謝料については、投稿内容の悪質性や約4か月間に15回という執拗性を認めつつも、根拠を示さない誹謗にとどまり、一般の閲覧者が真実性の低い誹謗と受け止めるのが通常であることから社会的評価の低下の程度は小さいとして、30万円と認定した。調査費用は1万4000円、弁護士費用は3万1000円の限度で相当因果関係を認め、合計34万5000円を認容した。第2事件について、各投稿の悪質性を認めつつも、1回限りで根拠も示さない一言の誹謗であり執拗性がないとして、慰謝料を各15万円とした。調査費用各1万4000円、弁護士費用各1万6000円と併せ、被告ら各自につき各18万円を認容した。いずれの事件も、請求額110万円に対し大幅に減額された結果となった。