公職選挙法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙に際し、広島県選出議員選挙に立候補する決意を有していたAの選挙運動者である被告人が、Aを当選させる目的をもってAへの投票及び投票取りまとめなどの選挙運動をすることの報酬として供与されるものであることを知りながら、同年5月26日頃、広島市内のB事務所において、Aの配偶者であるBから現金30万円の供与を受けたとして、公職選挙法違反(被買収)で起訴された事案の控訴審である。被告人は当時3期目の市議会議員であり、以前からBの選挙に協力していた。原審(広島地方裁判所)は被買収の故意を認定して有罪としたため、弁護人が事実誤認を主張して控訴した。 【争点】 被告人に被買収の故意(Bから交付された現金30万円が選挙運動の報酬であるとの認識・認容)が認められるか。弁護人は、(1)Bが選挙協力の依頼時にのみ被告人に直接電話をしていたとの原判決の事実認定は誤りであり、本件電話をもって従前と大きく異なる事情と評価できない、(2)本件電話の前にBの秘書と被告人が口論になった経緯があり、Bが直接電話したのは秘書では接触できなかったためにすぎない、(3)原判決は被買収の趣旨の認容について理由を示していない、と主張した。 【判旨(量刑)】 控訴棄却。争点(1)について、被告人自身が「Bからの電話は主に選挙の時」「専らBの衆院選の時」と供述しており、原判決の事実認定は不合理ではない。Bが会食の案内をしていたとの供述も、選挙以外の用件で直接電話をかけていたことを具体的にうかがわせるものではなく、原判決の認定を左右しない。争点(2)について、秘書との口論がBの直接電話の契機であったとしても、本件選挙までの時期や選挙に関連する状況等からすれば、Bの意図が本件選挙に関わるものかもしれないとの被告人の認識を妨げる事情とはいえない。争点(3)について、被告人はBから受領した現金を収支報告書に記載せず生活費等に費消しており、被買収の意図を認識した上でその趣旨を受け入れたものと認められ、認容も明らかである。原判決は認容についても当然の前提として判断しており、故意の認定に誤りはないとして、刑訴法396条により控訴を棄却した。