AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(日産自動車)が、被告(智佳電子股份有限公司)の有する「ワイヤレススカッフプレート」に関する特許(請求項1〜13)について無効審判を請求したところ、特許庁が請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。ワイヤレススカッフプレートとは、車両のドア開口部に設置される照明付きの踏み板であり、本件特許発明は、底板に凹槽を設けてバックライトモジュールを収容し、電源収容孔にバッテリーを設置して底カバーから交換可能とし、近接センサーの感応信号に従って制御モジュールがバックライトのオンオフの時間間隔を調整可能に開閉する構成を特徴とする。原告は、①訂正を認めた判断の誤り、②甲1発明に基づく進歩性判断の誤り、③甲2発明に基づく進歩性判断の誤り、④明確性要件違反、⑤実施可能要件違反、⑥サポート要件違反の6つの取消事由を主張した。 【争点】 (1) 請求項12に係る訂正(凹槽の下表面が底板本体の下表面よりも下方に突出していることの明確化)を認めた判断の当否 (2) 甲1発明(導光板内に電池を埋設する発光モジュール)に基づく進歩性の判断の当否(相違点1:底板の下表面から電池を交換可能とする構成) (3) 甲2発明(表板背面にモジュールを固設する構造)に基づく進歩性の判断の当否(相違点3:底板にモジュールを収容する構造) (4) 「オンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」との記載の明確性要件適合性 (5) 同構成に関する実施可能要件適合性 (6) 同構成に関するサポート要件適合性 【判旨】 請求棄却。裁判所は、原告の主張する取消事由をいずれも排斥した。訂正について、本件図5から凹槽の下表面が底板本体の下表面より下方に突出していることが見て取れ、明瞭でない記載の釈明として適法であると判断した。甲1発明に基づく進歩性については、甲1発明において電池を導光板内に埋設する構成は課題解決に直結した構成であり、これを変更して底板側から電池交換可能とする構成に至るには動機付けがないとした。甲2発明に基づく進歩性については、甲2発明は表板背面にモジュールを設ける構造であり、底板にモジュールを収容する本件発明の構造とは根本的に異なるため、構造の変更は容易想到とはいえないとした。明確性要件については、当該記載は感応信号に従いバックライトを開閉する機能において時間間隔を調整可能であることを特定したものとして明確に理解できるとした。実施可能要件及びサポート要件についても、技術常識を踏まえれば当業者が実施・課題解決を認識できる範囲のものであるとして、審決の判断に誤りはないと結論付けた。