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【事案の概要】 原告は、「角栓除去用液状クレンジング剤」に関する特許(特許第6271790号)の特許権者である。本件特許の請求項1は、水、オクチルドデカノール、所定の炭化水素及び界面活性剤(但し、界面活性剤が全量に対して0〜10体積%であるものを除く)を含む角栓除去用液状クレンジング剤を発明として特定するものであった。被告(株式会社ユーグレナ)が本件特許の無効審判を請求し、特許庁は本件特許を無効とする審決をした。原告は同審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 【争点】 主な争点は、本件発明の進歩性の有無である。具体的には、①甲1発明(市販のクレンジングオイル「セルソアン クレンジングオイル」の全成分表示)を主引用発明とし、甲5の1〜3(角栓除去用クレンジング組成物における界面活性剤の配合量に関する公知文献)を副引用文献として、本件発明と甲1発明との相違点である「界面活性剤が全量に対して0〜10体積%であるものを除く」という構成(本件除く構成)に容易に想到できるか、②本件除く構成が顕著な効果を有するか、が争われた。原告は、本件除く構成の容易想到性判断において審決が補正の経緯を不当に考慮した点、甲5の1〜3が0〜10体積%のものを含んでいることを看過した点、甲1の成分表示を必須成分と認定した点、同一製品に関する別証拠との判断の整合性の点を取消事由として主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、本件除く構成は、同じ原出願から分割された別出願(界面活性剤を0〜10体積%とするもの)との重複を避けるために追加されたものであり、本件明細書には0〜10体積%を除く量で界面活性剤を配合した実施例が存在しないことを確認した。その上で、甲5の1〜3の記載を総合すると、角栓除去用クレンジング組成物において界面活性剤を10〜20質量%程度(すなわち10体積%を超える量)で配合することは優先日前の技術常識であったと認定し、甲1発明に基づき本件除く構成に容易に想到できると判断した。効果の顕著性についても、本件明細書の実施例は界面活性剤を含まないか0〜10体積%の範囲内のものしかなく、試験管内でのタンパク質抽出作用の確認にとどまることから、界面活性剤を10体積%超で配合することによる格別顕著な効果は認められないとした。原告のその他の主張(全成分表示の性質、証拠の取扱い)についても、いずれも審決の判断を左右するものではないとして退けた。