損害賠償等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 伊良部島で宿泊施設を経営する控訴人ら(控訴人A及び控訴人B)は、被控訴人(宮古島市)との間で給水契約を締結していたところ、被控訴人が設置・管理する配水池内のボールタップが破損し、伊良部島南区で断水が発生した。このボールタップは昭和53年頃に設置されて以来約40年間交換されておらず、経年劣化により破損したものであった。控訴人らは、断水により宿泊予約のキャンセルや併設飲食店の営業停止等の損害を被ったとして、主位的に給水契約の債務不履行に基づく損害賠償を、予備的に不法行為等に基づく損害賠償を求めた。第1審は請求をいずれも棄却し、差戻前控訴審も宮古島市水道事業給水条例16条3項による免責を認めて棄却したが、上告審(最高裁)は同条項は免責規定ではなく確認規定にすぎないと判示して破棄差戻しとなり、本件は差戻後の控訴審である。 【争点】 ①被控訴人が水道法15条2項ただし書の「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に該当し給水義務を免れるか、②被控訴人に本件断水についての過失(予見可能性・結果回避可能性)があるか、③損害の発生及びその額。 【判旨】 裁判所は、本件破損の原因は台風等の災害ではなく長年の使用による経年劣化であると認定した。本件ボールタップは配水池の貯水量を適正に保つ重要な装置であり、金属製の支柱や弁が水に濡れた状態で相当の力を受けながら約40年にわたり交換されず、耐用年数(17〜20年)を大幅に超過していたこと等から、水道法15条2項ただし書の「その他正当な理由があってやむを得ない場合」には該当しないと判断した。また、被控訴人にはボールタップの整備・交換時期の検討を怠った過失があり、予見可能性及び結果回避可能性も認められるとして、債務不履行責任を肯定した。損害額については、宿泊キャンセル等による損害及び飲食店の営業損害を認容した一方、人件費相当額やイメージ毀損による損害は証拠不十分として認めなかった。弁護士費用相当額も認容し、控訴人Aにつき88万2000円、控訴人Bにつき111万円及び各遅延損害金の支払を命じた。