兇器準備集合、公務執行妨害・傷害、現住建造物等放火、殺人
判決データ
AI概要
【事案の概要】 昭和46年11月14日、沖縄返還協定の批准に反対する過激派組織(b派)が「渋谷暴動」を計画し、100名を超える学生・労働者がデモ隊を結成して渋谷方面へ向かった事件である。被告人は、b派の活動家としてデモ隊の指揮者Eを補佐し、デモ隊に指示を与える立場にあった。デモ隊は火炎びんや鉄パイプ等で武装し、中野駅から電車で移動した後、渋谷区内の神山派出所付近で警備中の機動隊と衝突した。デモ隊は機動隊の阻止線を突破して火炎びんを投てきし、機動隊員3名に重い火傷を負わせるとともに、神山派出所に放火して一部を焼燬した。さらに、逃げ遅れた機動隊員M巡査(当時21歳)を捕らえ、鉄パイプ等で頭部等を多数回殴打した上、火炎びんを投げつけてほぼ全身に火傷を負わせ、翌日死亡させた。被告人は指名手配後、45年以上にわたりb派の支援を受けて逃亡を続け、平成29年に逮捕・起訴された。罪名は兇器準備集合、公務執行妨害・傷害、現住建造物等放火及び殺人である。 【争点】 主な争点は、(1)被告人がデモ隊における指揮補佐の立場にあったか、(2)被告人がM巡査殺害の実行行為に及んだか、(3)各公訴事実について共謀が成立するか、(4)目撃者らの供述及び被告人の同一性識別の信用性、(5)公訴時効の完成の有無であった。弁護人は全事実について無罪を主張し、被告人はデモの一参加者に過ぎず、実行行為にも共謀にも関与していないと主張した。また、共犯者Aの審理が不当に長引いたことを理由に公訴時効が完成しているとして免訴又は公訴棄却を求めた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、群馬グループの複数の目撃者の検察官調書等を詳細に検討し、各供述の信用性を認めた上で、被告人がEを補佐してデモ隊に指示を与える立場にあったこと、M巡査に対し殺意をもって鉄パイプで殴打する実行行為に及んだことを認定した。公訴時効については、共犯者Aに対する公訴提起により時効が停止しており、Aの死亡による公訴棄却決定確定後に時効の進行が再開したため、被告人の起訴時点では時効は完成していないと判断した。被告人の刑事責任は重大であるが、デモ隊の指揮者Eが控訴審で無期懲役に処せられていること等を考慮し、有期懲役刑を選択して懲役20年に処した(求刑無期懲役)。