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【事案の概要】 沖縄県警の巡査であった被告人が、令和4年1月27日午前1時過ぎ、沖縄市内で発生した暴走事案に対応中、暴走族の逃走経路として把握していた路上で警戒活動を行っていたところ、進行してくる第二種原動機付自転車を発見し、職務質問のため停止させようとした。しかし、同車が時速約25〜30km程度で停止せず進行してきたにもかかわらず、被告人は警棒を持った右手を走行中の運転者の前方に差し出し、警棒を運転者の右目付近に衝突させた。これにより、運転者(当時少年)に右眼球破裂による右眼失明の後遺症を伴う全治約2か月の右頬骨骨折、右眼窩底骨折、右前頭葉脳挫傷等の重傷を負わせた業務上過失致傷の事案である。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人の過失の重大性について、沖縄県警の本部長通達等では夜間の職務質問時に夜光チョッキや警笛等の装備資機材を活用し、車両の進路上から一歩後退して停車の合図を送ることが定められていたにもかかわらず、被告人はこれらを用いないまま警戒活動を行い、バイクで進行してくる運転者の前方に警棒を持った右手を差し出したものであり、重大な傷害結果を生じさせる蓋然性が高い危険な行為であると指摘した。また、通達で定められた装備資機材を正しく活用しなかったことも本件に相当程度寄与しており、警察官に課せられた基本的な注意義務に反する重大な過失であるとした。傷害結果も重大であり、被害者は右眼を失明し、人と目を合わせて話すことや写真を撮られることへの恐怖、距離感がわからず車両の運転やスポーツができなくなるなど深刻な影響を受けており、自由刑の選択も十分考えられるとした。しかしながら、被害者が進路前方にいる被告人を職務質問のため停止を求めている警察官と認識し、停止又は徐行するなどの衝突回避措置をとれた可能性が否定できず、本件衝突の要因が被告人の過失だけにあるとはいえないことを相応の重みを持つ事情として考慮し、罰金刑の選択が許容される事案とした。被告人が事実を認めて謝罪の言葉を述べ、損害賠償金として100万円を供託するなどの一般情状を踏まえても、罰金の所定金額の上限である罰金100万円をもって臨むのが相当と判断した(求刑どおり)。