再審請求棄却決定に対する異議申立事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5け5
- 事件名
- 再審請求棄却決定に対する異議申立事件
- 裁判所
- 名古屋高等裁判所
- 裁判年月日
- 2023年12月25日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 杉山愼治、後藤、谷口吉伸
AI概要
【事案の概要】 請求人は、A市議会議員として、株式会社Cの代表取締役Dから、同社がA市と災害時給水設備(自然循環型雨水浄水プラント)の設置契約を締結できるよう市議会議員としての権限行使や市職員への働き掛けを依頼する請託を受け、その報酬として現金合計30万円の供与を受けたとする受託収賄、事前収賄、あっせん利得処罰法違反の事案である。第1審(名古屋地裁)は無罪としたが、控訴審(名古屋高裁)は第1審判決を破棄し、懲役1年6月・執行猶予3年・追徴30万円の有罪判決を言い渡し、同判決は平成29年に確定した。請求人は、刑訴法435条6号に基づき、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとして再審請求をしたが、原裁判所がこれを棄却したため、即時抗告に代わる異議を申し立てた。 【争点】 請求人が新証拠として提出した①H陳述書(現金授受に関するDの発言内容についてHの第1審公判証言と異なる内容を含むもの)、②I陳述書(Iが警察に請求人への金銭供与を供述した動機がDの弁護人であったL弁護士の示唆によるものだったとするもの)、③供述心理鑑定書(大学教授2名がDの捜査段階の供述変遷を認知心理学の観点から検討したもの)が、それぞれ刑訴法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当するか。 【判旨】 名古屋高裁は、異議申立てを棄却した。①H陳述書については、体験時から相当長期間が経過した段階で作成され、検察官の指摘を受けて合理的理由なく供述を後退させた不自然な供述経過が認められ、新規供述部分はにわかに信用できないとした。また、Hの証言から認められる事実はD証言の信用性を高める周辺的な一事情にすぎないという確定判決の証拠構造に照らし、明白な証拠に当たらないとした。②I陳述書については、L弁護士の死後に唐突に述べられた新規供述部分は信用し難く、仮にL弁護士の示唆があったとしても、IがDに金を貸した記憶自体は第1審公判証言と一貫しD証言とも整合するため、確定判決の判断に影響しないとした。③鑑定書については、確定判決が供述経過のみならず供述内容や情況証拠との整合性等を多角的に検討してD証言の信用性を判断していることに照らし、同証言の信用性に及ぼす影響は限定的であるとした。以上から、旧証拠に新証拠を加えて検討しても、各現金授受の存在を認めた確定判決の事実認定に合理的疑いが生じる余地はないと判断した。