AI概要
【事案の概要】 本件は、「食用畜肉塊の除毛装置」に関する特許(特許第6015941号)について、原告(株式会社セイコン)が特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本件特許は、豚足等の食肉塊と温水を投入する筒状容器と攪拌体からなる水槽式除毛装置において、容器内壁を平面視で多角形状に形成し、防錆処理された金属製で凹凸を有することを特徴とするものである。原告は、仏国追加特許(甲1)に記載された発明(甲1発明)と、洗濯機の波板構造(甲2記載事項)やハチノス洗浄機(甲3記載事項)等の公知技術に基づき、本件各発明は進歩性を欠くと主張した。 【争点】 主な争点は、本件各発明の進歩性の有無であり、具体的には、(1)甲1発明との相違点2(「水槽式」該当性)の認定・判断の誤りの有無、(2)相違点3(筒状容器内壁の「平面視で多角形状」という構成)に係る容易想到性判断の誤りの有無、(3)相違点3の認定に関する手続違背の有無が争われた。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず相違点2について、裁判所は本件各発明の「水槽式」とは、投入された水が排出されるまでの間、筒状容器内に水を滞留させることが可能な構造であれば足りると解した上で、甲1発明の排水管を有する筒状タンクも水を溜め得る構成であるから、相違点2は実質的な相違点ではないと判断し、この点に関する審決の認定は誤りであるとした。しかし相違点3については、甲2記載事項は洗濯機に関するもので甲1発明の除毛装置とは技術分野が異なり、甲1発明に甲2記載事項を適用する動機付けがないと判断した。甲3記載事項についても、円筒型水槽の側面に等辺三角山形の側板を配置したものであって内壁を多角形としたものではなく、仮にそう解しても「洗浄機」と「除毛装置」は同じ技術分野に属しないとして、動機付けを否定した。結論として、審決には相違点2の認定に誤りがあるものの、相違点3の判断に誤りはなく、進歩性欠如の無効理由がないとした審決の結論に誤りはないとして、原告の請求を棄却した。