AI概要
【事案の概要】 原告(ボクシーズ株式会社)は、クラウド環境下で照明装置の点灯・消灯を利用して高齢者等の安否確認を行うシステムに関する特許出願(「安否確認システム、受信機、安否確認方法及びプログラム」)について拒絶査定を受け、不服審判を請求したが、特許庁は本願発明が引用発明(生活状況遠隔監視システム)に基づき進歩性を欠くとして審判請求不成立の審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知財高裁に出訴した。本願発明は、照明装置に備えられた発信装置が施設及び施設内の設置箇所に係るID番号を電波に重畳して発信し、クラウドサーバが当該ID番号に基づき安否通知ルールに応じて見守り者の外部端末に通報するものである。 【争点】 主な争点は3つある。第1に、本願発明の「施設内での設置箇所に係るID番号」と引用発明の「検出部ID」の対比における一致点認定の誤り及び相違点の看過の有無(取消事由1)。第2に、照明装置の交換による工事不要の効果に関する判断の誤り(取消事由2)。第3に、照明装置が発信装置を備える構成及び発信装置の交換可能性に関する容易想到性判断の誤り(取消事由3)である。 【判旨】 裁判所は、取消事由1について原告の主張を認め、審決を取り消した。本願発明のID番号は、照明装置の設置箇所(居間、トイレ、寝室等の各部屋)を識別できる位置情報を含むものであるのに対し、引用発明の「検出部ID」は電源タップを一意に識別する符号にとどまり、設置箇所を識別するものではないと判断した。被告(特許庁長官)は、検出部IDから接続される電気機器の種別を通じて設置箇所を推知できると主張したが、裁判所は、電源タップにどの電気機器を接続しどこに設置するかは利用者が任意に決められるものであり、検出部IDと設置箇所との対応関係は引用文献に開示されていないとして退けた。他方、取消事由2及び3については、コンセント接続の照明装置と電源タップの一体化に技術的困難性は認められないとして、原告の主張を排斥した。結論として、一致点認定の誤りにより相違点5が看過されていることは審決の結論に影響を及ぼすとして、審決を取り消した。