発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、指定商品を被服等とする商標権を有する原告が、インターネットのフリーマーケットサイト(メルカリ)に投稿されたロングコートの出品記事において、原告商標「Maison de FLEUR Petite Robe」と同一と認められる標章が使用されており、商標権が侵害されたことが明らかであると主張して、同サイトを運営する被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項に基づき、出品者に係る氏名又は名称、住所、電話番号及び電子メールアドレスの開示を求めた事案である。プロバイダ責任制限法は、インターネット上で権利侵害が生じた場合に、被害者がプロバイダ等に対して発信者の特定に必要な情報の開示を請求できる制度を定めたものであり、商標権侵害についても「権利の侵害が明らか」であることが開示請求の要件とされている。 【争点】 主たる争点は、本件投稿によって原告商標権が侵害されたことが明らかであるか否かである。被告は、出品者からの意見照会への回答として、本件コートは海外のインターネットショッピングサイトで購入したものであり転売禁止の説明もなく実際に流通していた商品であるなどと主張し、商標権侵害が明らかとはいえないと争った。 【判旨】 裁判所は請求を認容した。まず商標の類似性について、本件標章のローマ字部分と片仮名部分は不可分的に結合しているとはいえず分離観察が許されるとした上で、ローマ字部分と原告商標は称呼及び観念が同一であり、字体やフォント等の外観上の僅かな相違は両者の同一性を左右しないとして、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると判断した。次に被告の反論について、原告が販売予定であった本件コート97着を全て廃棄し、サンプル品2着も仕入先に返却した事実が認められることから、原告が自ら流通過程に置いたとは認められず、商標権侵害を否定すべき事情はないとして排斥した。