不正競争行為差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(オリゴ糖含有食品「カイテキオリゴ」の製造販売会社)が、被控訴人(同種の「はぐくみオリゴ」の製造販売会社)に対し、不正競争防止法に基づく差止め及び損害賠償を求めた事案の控訴審である。控訴人は、被控訴人が自社商品のオリゴ糖配合割合が約53%であるにもかかわらず「オリゴ糖100%」と表示して販売した行為が品質誤認表示(不競法2条1項20号)に当たると主張するとともに、被控訴人従業員がアフィリエーター向けイベントにおいて、控訴人商品の名称を挙げて「カイテキオリゴはオリゴ糖100%ではないが、はぐくみオリゴは100%なので良い商品だ」等と虚偽の説明をした行為が信用毀損行為(同項21号)に当たると主張した。原審は品質誤認表示の一部を認めて約1835万円を認容したが、信用毀損行為は認めなかったため、控訴人がこの点を不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)被控訴人従業員のイベントでの発言が信用毀損行為に該当するか、(2)損害額の算定方法(不競法5条2項に基づく侵害者利益の推定と覆滅割合)である。争点(1)について被控訴人は、控訴人従業員Aの供述は競合他社調査目的で参加した者の恣意的情報収集であり信用できない、被控訴人が送付した回答書面は紛争回避のためとりあえず謝罪したにすぎないと反論した。争点(2)について控訴人は、売上高に消費税を加算すべきこと、被控訴人が主張する送料・手数料・広告費の控除は裏付け不十分であること、覆滅割合を低く設定すべきこと等を主張した。 【判旨】 知財高裁は、原審を変更し、被控訴人に対して合計約6890万円及び遅延損害金の支払を命じた。信用毀損行為について、Aの供述はイベント直後作成のレポート、被控訴人代理人弁護士作成の回答書面(発言を認め謝罪・再発防止を誓う内容)、及び新聞社への被控訴人担当者コメントという3つの客観的資料で裏付けられており信用できると判断した。被控訴人の「とりあえず謝った」との主張に対しては、弁護士が作成した回答書面で事実を留保なく認めれば訴訟で有力な証拠として利用されることが容易に想定されるとして退けた。損害額の算定では、不競法5条2項に基づき侵害者利益を推定した上で、品質誤認表示については売上高約11億円から原価・送料・広告費等を控除した限界利益約7億3306万円に対し91%の推定覆滅を適用し約6597万円、信用毀損行為については限界利益約2億9252万円に対し99%の推定覆滅を適用し約292万円と算定した。覆滅割合が高率となった理由として、オリゴ糖市場には多数の競合品が存在し品質誤認表示と販売数量の相関がそれほど強くないこと、信用毀損行為はイベント当日の1回に限られ聴衆も数十人程度にとどまったこと等が考慮された。