差止等請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、栃木市の住民である原告らが、栃木市長である被告に対し、都市公園(岩舟総合運動公園)内にサッカー専用スタジアムを設置した民間会社に係る固定資産税の免除及び公園使用料の免除が違法であるとして提起した住民訴訟である。住民訴訟とは、地方自治法242条の2に基づき、住民が地方公共団体の財務会計上の違法な行為の是正を求める制度である。被告は、民間会社との覚書に基づき、同社が都市公園内に設置したスタジアム棟等の固定資産税を栃木市税条例71条1項4号の「特別の事由」により免除するとともに、栃木市公園条例22条の「公益上その他特別の理由」により公園使用料約1225万円を免除していた。原告らは、これらの免除がいずれも条例所定の要件を満たさない違法なものであると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)固定資産税免除の差止めを求める訴えの適法性、(2)固定資産税免除の適法性、(3)公園使用料免除の適法性の3点である。被告は、本件スタジアムがサッカーチームの活動拠点として地域経済への波及効果や賑わいの創出等の公益性を有するとして、免除の裁量権行使に逸脱濫用はないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも認容した。固定資産税免除について、地方税法367条の減免は本来担税力の薄弱な者に対する個別的救済措置であり、条例71条1項4号の「特別の事由」とは、租税負担の公平の観点から同条1号ないし3号に準ずる程度の強い公益性がある場合をいうと解すべきところ、本件スタジアムは民間会社の子会社が運営するサッカーチームの営業施設であり、担税力を生み出さない用途に使用されているとは認められず、固定資産税の減免を受けていない他の事業者との比較においても強い公益性は認められないとした。公園使用料免除についても、被告主張の経済効果の試算は将来予測の的確性が不明であり、スタジアム利用料は従前の多目的グラウンドに比べ著しく高額で一般市民の利用は実際上見込めず、他の自治体からの誘致競争もなかったことから、客観的根拠に基づく合理的な将来予測に裏付けられておらず、「公益上その他特別の理由」があるとは認められないと判断した。