AI概要
【事案の概要】 イラストレーターである原告が、自己の著作物であるイラスト(以下「本件イラスト」)を被告が無断で複製した上、原告のペンネームとは異なる著作者名により日本テレビの番組「明石家さんまの転職DE天職」(以下「本件番組」)の企画に応募し、同番組において虚偽の著作者名を表示して全国放送されたことにより、本件イラストに係る原告の著作権(複製権・公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されたと主張して、被告に対し、著作権法112条に基づく複製・譲渡の差止め及びデータ廃棄、並びに放送局及び番組制作会社との共同不法行為(民法719条1項)に基づく1202万8000円の損害賠償等を求めた事案である。原告は平成28年にSNS上で本件イラストを公表し、イラスト集の出版やコンビニプリントサービスでの販売も行っていた。被告はSNSで知り合った人物から同人の作品として本件イラストのデータ提供を受け、当該人物との合意に基づき応募したと主張した。 【争点】 主な争点は、(1)被告の故意又は過失の有無、(2)原告の損害額である。原告は、被告が本件イラストの著作者でないことを知りながら応募した故意があり、仮に第三者から受領したとしても画像検索等による著作者調査義務を怠った過失があると主張した。被告は、SNSで知り合った人物から同人の作品として譲り受け、本件注意書も認識しておらず、画像検索で著作者を調査できることも知らなかったとして、故意も過失もないと反論した。損害額について原告は、本件番組の平均視聴者数1111万8000人に1人1円を乗じた慰謝料等を請求した。 【判旨】 裁判所は、一部認容・一部棄却の判決を下した。まず著作権及び著作者人格権の侵害を認定した上で、被告の過失について、本件番組がオリジナル作品の制作者本人による応募を前提としていたこと、全国放送で多数の視聴者に視聴されることが容易に予想されたこと、及びインターネット上の画像検索により特定の画像の制作者を特定することは特別の専門的知識がなくとも比較的容易であることを指摘し、被告にはインターネット上の画像検索等の客観的方法により著作者を確認すべき注意義務があったと判示した。損害額については、氏名表示権侵害の慰謝料を30万円、著作権侵害の損害を1万円、弁護士費用を3万円と算定し、合計34万円の限度で請求を認容した。氏名表示権侵害については、虚偽の著作者名を表示させた点で侵害態様が悪質とする一方、放送時間が約19秒と短く、作品自体への評価は積極的であったこと等を考慮した。