AI概要
【事案の概要】 引きこもり状態にあった原告が、自立支援サービスを提供する会社(クリアアンサー社)の従業員である被告A・被告Bらに、自宅から連れ出されて同社の施設に入所させられ、事実上監禁されたとして、被告A・被告B及び原告の母である被告Cに対し民法719条1項(共同不法行為)に基づく損害賠償(慰謝料500万円+弁護士費用50万円)を、破産したクリアアンサー社及びその子会社リアライズ社の各破産管財人に対し民法715条1項(使用者責任)等に基づく破産債権の確定を、それぞれ求めた事案である。被告Cは、原告が約2年間引きこもりの状態にあることからリアライズ社に自立支援を依頼し、説得業務を含む計約318万円の契約を締結していた。被告A・被告Bら従業員4名は、原告に無断で自宅を訪問し、少なくとも7時間にわたり施設入所の説得を続けた。原告は一貫して抵抗したが、父親の説得もあり、最終的に部屋着・裸足のまま自動車に乗り込んだ。施設入所後、原告は食事を一切拒否し、3日目に脱水症で救急搬送された。 【争点】 主な争点は、(1)被告A及び被告Bの行為が不法行為に当たるか、(2)クリアアンサー社・リアライズ社の使用者責任及び会社法350条の責任の有無、(3)被告Cを含む共謀の成否、(4)損害額であった。被告側は、原告が自ら歩いて自動車に乗ったこと、施設内の鍵は解錠可能であったこと、従業員の常駐は精神的不安を和らげるための措置であったことなどを主張して不法行為の成立を争った。 【判旨】 裁判所は、施設内において従業員が24時間常駐し、退去を申し出た入所者には退去を思いとどまるよう説得する運用がなされていたことから、原告が自らの意思で外出することは著しく困難な状態に置かれていたと認定した。原告が着替えも靴も身につけず自動車に乗り込んだこと、施設入所の同意書に署名していないこと、入所後一貫して食事を拒否して抗議の意思を示していたことなどから、被告Aらの行為は原告の意に反するものであり不法行為に当たると判断した。また、被告Cについても、仮に原告の真摯な承諾が得られなくとも入所させることを認容していたとして共謀を認定した。もっとも、原告が主張する羽交い絞めによる連れ出しについては、客観的証拠との整合性を欠くとして認めなかった。損害額については慰謝料50万円・弁護士費用5万円の合計55万円のみを認容し、請求額の約1割にとどまった。