商標権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 商標「ライスパワー」「RICE POWER」の商標権を有する原告創研と、同表示を化粧品等に使用してきた原告勇心酒造が、化粧品の製造販売を業とする被告に対し、甲事件として商標法36条に基づく差止め・廃棄を、乙事件として不正競争防止法2条1項1号又は2号に基づく差止め・廃棄及び損害賠償を求めた事案である。原告勇心酒造は、昭和47年頃から米の醸造発酵技術を活かした研究に着手し、米由来のエキスに「ライスパワー」の名称を付して化粧品等を製造販売してきた。同社は大手化粧品メーカー等にOEM商品も提供し、累計600万本以上の販売実績を有していた。被告は、令和元年頃から「いいべさーホワイトライスパワー」等の標章・表示を付した化粧品をインターネット上で販売していた。 【争点】 主な争点は、(1)原告各商標と被告各標章の類否(甲事件)、(2)原告各表示の「商品等表示」該当性(乙事件)、(3)原告各表示の周知性、(4)原告各表示と被告各表示の類似性、(5)混同の有無、(6)損害額である。被告は、被告標章は「いいべさーホワイトライスパワー」として一体不可分であり、「ライスパワー」部分を分離して対比すべきではないと主張した。また、「ホワイトライス」は白米を意味するから「ホワイト」のみを分離できないとも主張した。 【判旨】 裁判所は、原告各表示が化粧品に関心を持つ一般消費者の間で原告勇心酒造の出所を示す周知の表示であると認定した。その上で、被告標章の「ホワイトライスパワー」のうち「ライスパワー」部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとし、化粧品業界の取引実情として「ホワイト」は商品の色彩や美白効果を示す品質・効能表示として広く使用されていることから、識別力を有しないか弱い部分であると判断した。被告の一体不可分の主張に対しては、被告自身がインターネット上で「いいべさー」と切り離して使用していた事実等を指摘して排斥した。以上から、商標権侵害及び不正競争防止法2条1項1号該当性をいずれも肯定し、差止め・廃棄請求を認容するとともに、不競法5条2項に基づく損害賠償として17万7882円の支払を命じた。