AI概要
【事案の概要】 本件は、沢井製薬株式会社(原告)が、旭化成ファーマ株式会社(被告)が保有する「1回当たり100〜200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTH含有骨粗鬆症治療/予防剤」に関する特許(特許第6150846号)について、特許無効審判を請求したところ、特許庁が訂正を認めた上で審判請求を不成立とした審決の取消しを求めた審決取消請求事件である。本件発明は、PTH(1−34)又はその塩を有効成分とする骨粗鬆症治療剤であり、65歳以上・既存椎体骨折あり・骨密度が若年成人平均値の80%未満等の条件を全て満たす患者に投与して増悪椎体骨折(特にGrade3への増悪)を抑制するものである。原告(ジェネリック医薬品メーカー)は、本件発明が先行文献に基づいて進歩性を欠くこと、明確性要件・実施可能要件・サポート要件に違反すること等を主張した。 【争点】 主な争点は、(1)本件発明の進歩性の有無(甲7文献を主引用例とする容易想到性)、(2)明確性要件違反の有無(「200単位のPTH(1−34)」の意義)、(3)実施可能要件違反の有無、(4)サポート要件違反の有無である。 【判旨】 知財高裁は、本件審決を取り消した。裁判所は、本件発明1の進歩性について、甲7文献(週1回のPTH投与に関する臨床試験論文)には、200単位のPTH週1回投与により骨折リスクが有意に減少する旨が開示されているが、この文献の対象患者群には本件発明が特定する3条件を全て満たす高リスク患者群に対する増悪椎体骨折抑制効果が具体的に示されていないとする審決の判断に対し、甲7文献等に基づけば当業者がこのようなサブグループにおいても同様の効果を合理的に期待できたとして、容易想到性を肯定した。また、サポート要件について、本件明細書には上記3条件を全て満たす患者に対するPTH200単位週1回投与の増悪椎体骨折抑制効果を裏付ける薬理データの記載が不十分であるとして、サポート要件違反も認定した。