AI概要
【事案の概要】 本件は、「片手支持可能な表示装置」に関する特許(特許第3382936号)の特許権者の承継人である原告(有限会社コロンブスの卵たち)が、特許庁が訂正審判請求のうち請求項1から10に係る部分を不成立とした審決の取消しを求めた審決取消請求事件である。本件特許は、略長方形の画面をそれぞれ表示できる2つの表示板を含み、ユーザーが片手だけでも支持することができる表示装置に関するものであり、元の出願日は平成3年まで遡る。原告は令和2年に訂正審判を請求し、請求項1ないし10について特許請求の範囲及び明細書の訂正を求めたが、特許庁は請求項11及び12の訂正のみを認め、請求項1ないし10に係る訂正は不成立とする審決をした。 【争点】 主な争点は、本件訂正が、(1)特許法126条1項ただし書に規定する訂正目的の要件(特許請求の範囲の減縮等)を充たすか、(2)同条6項に規定する独立特許要件を充たすかである。特に、訂正後の請求項1の発明が進歩性を有するか否かが問題となった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。裁判所は、まず訂正目的の要件について、本件訂正のうち一部は特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明に該当すると認めた。しかし、独立特許要件について、訂正発明1は、片手で支持可能な2つの表示板を備える表示装置において、画面の長辺方向が装置の短手方向に一致するように配置し、ヒンジによって開閉可能とする構成に関するものであるところ、引用発明(既存の折りたたみ式電子手帳等)との相違点に係る構成は当業者が容易に想到し得るものであるとして、進歩性を否定した。訂正発明2ないし6及び10についても同様に進歩性を欠くと判断し、独立特許要件を満たさないとして訂正を認めなかった審決の判断に誤りはないとした。