AI概要
【事案の概要】 本件は、商標法50条1項に基づく商標登録取消審判請求に対し、商標登録を取り消す旨の審決がされたため、商標権者である原告がその取消しを求めた審決取消請求事件である。本件商標は「知本主義」の文字を標準文字により表してなるもので、指定商品は第16類「新聞,雑誌,書籍」である。被告は令和元年10月に本件商標登録の取消審判を請求し、特許庁は本件商標登録を取り消す旨の審決をした。原告は、自らが著した書籍やウェブサイトにおいて「知本主義」の文字を用いていること、及び自身のファンクラブ会報の題号に「知本主義」を使用していることをもって、要証期間内の使用を主張した。 【争点】 主な争点は、原告が要証期間内(平成28年10月18日から令和元年10月17日まで)に本件商標を指定商品「書籍」等について使用したか否かである。具体的には、(1)書籍やウェブサイトにおける「知本主義」の文字の使用が商標としての使用に該当するか、(2)ファンクラブ会報における使用商標「賢主主義と知本主義」が本件商標と社会通念上同一か、(3)会報が商品「雑誌」に該当するかが問題となった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。裁判所は、まず書籍に関する使用について、書籍の出所を表示するのは出版社の商号やハウスマーク等であり、書籍内や関連ウェブサイトにおける「知本主義」の文字は、前後の文字と組み合わされて著者の主張を表すものとして記載されており、たとえかぎ括弧内に表記されていても、取引者・需要者は書籍の副題・記載内容・宣伝文句の一部として認識するにとどまり、商品の出所表示として自他商品識別機能を果たすとは認められないと判断した。次にファンクラブ会報について、使用商標「賢主主義と知本主義」は構成文字全体が一体のものとして認識され、「知本主義」のみからなる本件商標とは社会通念上同一とはいえないとした。さらに、会報の発行者が商標権者であることの確認ができず、発行日も要証期間外であるとした。以上から、要証期間内の商標使用は認められないとした。