納骨堂経営許可処分取消,納骨堂経営変更許可処分取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 大阪市長がB寺に対してした墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)10条1項に基づく納骨堂経営許可処分及び同条2項に基づく納骨堂施設変更許可処分について、納骨堂所在地付近に居住し又は土地建物を所有する控訴人ら(個人6名及び法人1社)が、上記各許可処分は墓埋法及び関係法令に定める許可基準を満たしておらず違法であるなどと主張して、各許可処分の取消しを求めた事案である。原審は、控訴人らにはいずれも原告適格が認められないと判断して訴えを全て却下したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 控訴人らが納骨堂経営許可処分等の取消訴訟において原告適格を有するか。具体的には、墓埋法及びその関係法令である大阪市墓地等の経営の許可等に関する細則(本件細則)が、周辺住民の生活環境に係る利益、生命・身体の安全に関する利益、財産的利益を個別的利益として保護しているかが問題となった。 【判旨】 控訴人Aら6名の控訴について原判決を取り消し、第一審に差し戻した。控訴人会社の控訴は棄却した。 裁判所は、墓埋法の規定のみからは周辺住民の個別的利益の保護を即断することは困難としつつ、墓埋法と目的を共通にする関係法令である本件細則の趣旨及び目的を参酌して検討した。本件細則8条本文は、学校・病院・人家の敷地からおおむね300メートル以内での墓地等の経営を原則禁止し、ただし書で生活環境を著しく損なうおそれがない場合に制限を解除する構造をとっている。この規定を全体としてみれば、距離制限区域内の人家の居住者の生活環境に係る利益を個別的利益として保護する趣旨が含まれていることは明らかであるとした。また、本件細則10条が納骨堂の周囲に塀を設けることを要求しているのは、死を象徴する施設を日常的に目にすることによる精神的苦痛を和らげる目的も含むとした。 被控訴人の、保護対象施設の範囲が広いこと、距離制限があいまいであること等の反論については、対象施設は明確かつ具体的に定められていること、「おおむね」の文言は合理的判断の余地を認める程度の意味合いにすぎないこと、墓地等からの距離が近接するほど精神的苦痛が増大するから300メートルの区分には合理性があること等を理由にいずれも退けた。 以上から、距離制限区域内の人家に居住する控訴人Aら6名は原告適格を有するとした。他方、控訴人会社は距離制限区域内の病院・学校の設置管理者でも居住者でもないため原告適格を有しないとし、財産的利益についても墓埋法等に個別的利益として保護する根拠となる規定は見受けられないとして、控訴を棄却した。