窃盗,窃盗未遂被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2あ1087
- 事件名
- 窃盗,窃盗未遂被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2022年2月14日
- 裁判種別・結果
- 決定・棄却
- 裁判官
- 戸倉三郎、宇賀克也、林道晴、長嶺安政、渡惠理子
- 原審裁判所
- 仙台高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 金融庁職員になりすましたキャッシュカードすり替え窃盗の事案である。犯行計画は、まず警察官を装った共犯者が被害者(当時79歳)宅に電話をかけ、詐欺被害に遭っているのでキャッシュカードを封筒に入れて保管する必要がある旨のうそを述べ、次に金融庁職員を装った被告人が被害者宅を訪問し、キャッシュカードを封筒に入れさせた上、割り印のため印鑑を取りに行かせ、その隙に偽封筒とすり替えてキャッシュカードを窃取するというものであった。共犯者が被害者に電話でうそを述べた後、被告人は指示役の合図により被害者宅に向かったが、被害者宅まで約140mの路上で警察官の尾行に気付き犯行を断念した。第1審及び原審は窃盗未遂罪の成立を認めた。 【争点】 被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点で窃盗未遂罪の実行の着手が認められるか。弁護人は、被害者にキャッシュカードから目を離させる行為(印鑑を取りに行かせる行為)こそが占有侵害の現実的・具体的危険性のある行為であり、そのような行為をしていない時点では窃盗未��罪は成立しないと主張した。 【判旨(量刑)】 上告棄却。裁判官全員一致の意見で、窃盗未遂罪の成立を認めた原判断は正当であるとした。本件犯行計画上、すり替えによるキャッシュカードの窃取には、被害者が金融庁職員を装った被告人の虚偽の説明や指示を信じてこれに従い、印鑑を取りに行くことですり替えの隙を生じさせることが必要であり、本件うそはその前提となるものである。本件うそには、金融庁職員の説明や指示に従う必要性に関係するうそや、間もなく金融庁職員が訪問することを予告するうそなど、被告人の訪問と虚偽の説明に直接つながるとともに、被害者に疑問を抱かせることなくすり替えの隙を生じさせる状況を作り出すうそが含まれている。このような本件うそが述べられ、すり替えによってキャッシュカードを窃取する予定の被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では、被害者が被告人の説明や指示に従うなどしてキャッシュカード入りの封筒から注意をそらし、その隙に被告人がすり替えて占有を侵害するに至る危険性が明らかに認められるとして、実行の着手を肯定した。当審における未決勾留日数中450日を本刑に算入した。