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【事案の概要】 令和3年10月31日施行の第49回衆議院議員総選挙における比例代表選出議員選挙(本件比例代表選挙)について、東京都選挙区及び南関東選挙区の選挙人である原告らが、①小選挙区選挙と比例代表選挙は不可分一体であり小選挙区選挙の違憲無効により比例代表選挙も無効となること、②重複立候補制が選挙人の投票意思をゆがめ憲法に違反すること、③公選法13条2項及び別表第2による定数配分が人口に比例していないこと、④国会の立法不作為、⑤ブロック別配分議員数の不平等、⑥南関東選挙区の区割りの不合理性、⑦11ブロック制が比例代表選挙の長所を削ぐことを主張し、上記各選挙区における選挙の無効を求めた選挙無効訴訟(公選法204条)である。なお、本件比例代表選挙における議員一人当たり人口の最大較差は、四国選挙区と東京都選挙区との間の1対1.306であった。 【争点】 本件比例代表選挙は、憲法に違反した公選法の規定に基づくものとして無効となるか。具体的には、①小選挙区選挙との不可分一体性、②重複立候補制の憲法適合性、③定数配分の人口比例違反、④立法不作為の違憲性、⑤ブロック別議員数の不平等、⑥南関東選挙区の区割り、⑦11ブロック制の合憲性が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は原告らの主張する7つの無効理由をいずれも排斥した。①について、小選挙区選挙と比例代表選挙は選挙区の定め方、投票方法、当選人の決定方法が異なる別個の選挙であり、比例代表選挙の無効を求める訴訟において小選挙区選挙の憲法適合性を問題とすることはできないとした(最高裁平成11年大法廷判決参照)。②について、重複立候補を認めるか否かは選挙制度の仕組みの一つとして国会の裁量により決定できる事項であり、復活当選があり得ることは当然の帰結であって、重複立候補制の採用自体が憲法に違反するとはいえないとした。また、名簿順位が小選挙区選挙の結果により確定する点も、当選人となるべき順位は投票人の総意による投票の結果で決定されるから直接選挙に当たらないとはいえないとし、重複立候補者と非重複立候補者間の差異も政党等の重要性に照らし相応の合理性があるとした。③④について、最大較差が1対1.306にとどまることから、本件区割規定は国会の裁量権の行使として合理性を有し、投票価値の平等を損なうとは認められないとして、立法不作為の主張もその前提を欠くとした。⑤について、選挙区割りを異にする二つの別個の選挙の議員定数を合計して比率の平等を論じることに合理性はないとした。⑥⑦について、11ブロック制は候補者数や比例代表制の趣旨、広域的結び付き等を考慮したものであり、南関東選挙区の3県も関東甲信越地域として行政・司法上同一区分に分類され地理的にも近接していることから、いずれも国会の裁量権の範囲内であるとした。