ストーカー行為等の規制等に関する法律違反
判決データ
- 事件番号
- 令和2わ155
- 事件名
- ストーカー行為等の規制等に関する法律違反
- 裁判所
- 佐賀地方裁判所
- 裁判年月日
- 2022年2月17日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 西村彩子、蕪城雄一郎、神尾元樹
AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者と共謀の上、被害者Aに対する恋愛感情等を充足する目的で、Aの使用車両にGPS機能付き電子機器を密かに取り付け、同車の位置を探索してAの動静を把握したとして、ストーカー規制法違反で起訴された。差戻前第一審(佐賀地裁)は有罪判決をしたが、控訴審(福岡高裁)はGPS位置情報探索行為は「見張り」に該当しないとして原判決を破棄し差し戻した。最高裁も検察官の上告を棄却し、差戻後の佐賀地裁で審理されることとなった。差戻後、検察官は訴因を変更し、(1)GPS機器取付けのためにAの立寄り先駐車場に押し掛けた行為、(2)(3)Aの使用車両に乗車中の様子をうかがうなどして見張りをした行為の3つの訴因で審理が行われた。 【争点】 (1) 被告人がAの使用車両にGPS機器を取り付けるために駐車場に赴いた行為が、ストーカー規制法2条1項1号の「通常所在する場所」への「押し掛け」に当たるか。(2) 被告人がAの乗換え先車両を特定した際の行為が、同号の「見張り」に当たるか。 【判旨(量刑)】 被告人に対し無罪を言い渡した。訴因1(押し掛け)について、裁判所は、ストーカー規制法の趣旨が重大犯罪への発展防止と国民の生活の安全・平穏の保護にあることを踏まえ、同法2条1項1号の「通常所在する場所」とは、相手方が日常的に訪れ一定時間継続的に所在することが通常予定されている場所をいい、「押し掛け」とは相手方との接触の可能性が見込まれるような態様で行われる必要があると解釈した。Aがパーキング丁や乙パーキングに滞在する時間はごく短時間にすぎず、被告人もAとの接触を可能な限り回避しながらGPS機器を取り付けていたことから、「通常所在する場所」への「押し掛け」には当たらないと判断した。訴因2・3(見張り)について、裁判所は、検察官の訴因変更請求時の釈明内容や冒頭陳述等の審理経過に照らし、「見張り」に該当する具体的事実はAの動静を直接視認する行為(A目視行為)として特定されていたと認定した。検察官が論告で主張した車両確認行為はA目視行為とは異なり、訴因変更なしに認定することはできないとした。その上で、被告人はAの乗換え先車両を車内のバッグ等から特定しており、Aが乗車中の様子や乗降車する様子を直接視認した事実は認められないとして、いずれの訴因についても犯罪の証明がないと結論づけた(求刑:懲役4月)。