AI概要
【事案の概要】 原告(IT系人材派遣・システム開発会社GSD)は、かつて原告の従業員であった被告A(営業部長)及び被告Bが、平成30年12月31日に原告を退職し被告会社(ソフトユージング)に入社した際、原告の取引先であるフューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対して「原告と被告会社はグループ会社である」との虚偽の事実を告げ、原告の取引先に対する契約上の地位を奪ったと主張した。原告は、被告A及び同Bに対しては不正競争防止法4条、民法709条又は改正前民法415条に基づき、被告会社に対しては民法715条1項(使用者責任)に基づき、連帯して1616万4000円及び遅延損害金の支払を求めた。 【争点】 ①不正競争防止法2条1項21号の不正競争(営業上の信用を害する虚偽事実の告知)又は不法行為の成否、②雇用契約上の競業避止条項違反ないし信義則上の義務違反による債務不履行の成否、③損害額。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。争点①について、平成30年9月以降、原告と被告会社との間でグループ化についての話合いが行われていたこと、同年12月以降、原告が被告会社の委託を受けて技術者を派遣し業務委託料の支払を受けるなど両社が良好な関係にあったことから、本件メールの「グループ会社」との記載が虚偽であるとまでは認められないと判断した。また、同記載は単に両社がグループ会社であることを指摘するものにすぎず、原告の営業上の信用を害するとも認められないとした。エフネット及びリーディング・ウィンについても、被告らが虚偽の事実を伝えたことや契約上の地位を奪ったことを認めるに足りる証拠がないとした。争点②について、虚偽事実の告知や契約上の地位の奪取が認められない以上、雇用契約の競業避止条項違反も信義則上の義務違反も成立しないとした。日立ソリューションズの派遣枠を被告会社経由で原告に受注させた点についても、原告が自らの意思に基づき被告会社から受注しており、原告の意に反していたとはいえないとして、信義則上の義務違反を否定した。