AI概要
【事案の概要】 原告は、自身のインスタグラムのストーリー機能を用いて、自撮り写真やバッグの写真に文字加工を施した画像(本件各原画像)を投稿・公開していた。氏名不詳者が、これらの画像を複製し、インターネット上の投稿サイト「インスタB」に、原告を揶揄・嘲笑するコメントを付して転載した。原告は、この転載行為が自身の著作物に係る複製権(著作権法21条)及び公衆送信権(同法23条)を侵害するものであるとして、経由プロバイダである被告(ニフティ株式会社)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた。なお、本件投稿サイトは原告のSNS投稿を対象とした誹謗中傷の場となっており、冒頭には原告の容姿を侮辱する記載があるほか、原告の写真を転載して人格攻撃を行う投稿が約25スレッドにわたり多数寄せられていた。 【争点】 第1の争点は、本件各原画像の著作権が原告に帰属するか否かである。被告は、原告がインスタグラムのストーリー投稿後に原画像データを保有していないことから、原告が原画像を作成した客観的証拠がないと主張した。第2の争点は、本件各投稿による複製権及び公衆送信権の侵害が明白か否かである。被告は、本件各投稿は原告のSNS投稿に対する批評のための適法な引用(著作権法32条)に該当すると主張した。第3の争点は、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無である。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。第1の争点について、裁判所は、本件画像の体裁や内容(顔の肌に注意を惹く構図、顔の手入れの重要性を訴える文字加工等)から、本件各原画像に著作物性を認めた。そして、画像上に原告のインスタグラムアカウントと同一の文字列が記載されていること、インスタグラムのストーリー機能では端末に保存せず直接投稿することが可能であるという利用実態を踏まえ、原告が原画像データを保有していなくても、本件各原画像が原告の著作物であることは明らかであると認定した。第2の争点について、裁判所は、本件投稿サイトが原告への誹謗中傷を目的とするものであり、本件各投稿のコメントも原告のSNS投稿を取り上げて嘲笑する性質のものであると認定し、引用の目的に正当性を認めることはできないと判断した。加えて、投稿の大部分が原画像の複製で占められ、引用の合理的必要性も乏しいとして、著作権法32条1項の「正当な範囲」を超えることは明らかであり、適法な引用には当たらないと結論づけた。第3の争点についても、原告が発信者に対する損害賠償請求を予定していることから、開示を受けるべき正当な理由があると認めた。