損害賠償等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 元プロボクサーの一審原告A、同B、現役プロボクサーの一審原告C及びプロボクシング興行会社である一審原告会社が、日本ボクシングコミッション(一審被告JBC)らに対し損害賠償を求めた事案の控訴審である。一審被告JBCは、一審原告3選手が所属していたGジムの会長のクラブオーナーライセンス等の更新を不許可とする処分(本件処分)を行った。この処分の背景には、世界タイトルマッチ(本件試合)におけるIBF王座の帰趨に関するルールの認識の齟齬があった。本件処分により一審原告3選手は日本国内でプロボクシングの試合を行うことができなくなり、ファイトマネーや興行収入が得られなくなったとして、一審被告JBC、その理事長である一審被告D、理事である一審被告F及び事務局長代行である一審被告Eに対し、共同不法行為又は理事の第三者責任に基づく損害賠償を請求した。原審は一審原告Aに1200万円、同Bに750万円、同Cに1100万円、一審原告会社に1500万円の賠償を認容し、双方が控訴した。 【争点】 主な争点は、①本件試合におけるIBF王座の得喪に関して保持説と空位説のいずれが採用されたか、②本件処分の違法性、③損害の範囲と額である。特に①について、本件ルールミーティングにおいてIBF側のPが保持説が明記されたIBFルールブックを配布し署名を求めたか否かが激しく争われた。一審被告らは空位説が採用されたと主張し、本件メモやOら供述等を根拠としたが、一審原告らはN供述等に基づき保持説が採用されたと主張した。損害の範囲については、一審原告らが別件和解時(平成29年7月)までの損害を主張したのに対し、一審被告らは損害の発生自体を争った。 【判旨】 控訴審は、一審被告らの控訴を棄却し、一審原告らの控訴に基づき原判決を変更して賠償額を増額した。IBF王座の帰趨については、N供述等がIBFルールブックの記載内容やIBFの公式回答、外国メディアの報道等と整合することから信用性を認め、保持説が採用されたと認定した。一方、Oら供述等については、通訳のQが「ルールに関する発言は一切通訳していない」と供述していること、一審被告Fの記者会見での発言の趣旨に関する供述の変遷、Oの質問経緯に関する供述の変遷等から信用性を否定した。損害の範囲については、本件処分はライセンスの永久はく奪ではなく平成26年度の更新不許可にすぎず、平成27年以降の不許可処分は別個の処分であるとして、相当因果関係のある損害を平成26年中に生じたものに限定した。その上で試合頻度を年2回に増加する等して損害額を再算定し、弁護士費用を加え、一審原告Aに2640万円、同Bに1650万円、同Cに2420万円、一審原告会社に3300万円の賠償を認容した。