AI概要
【事案の概要】 フォロワー数20万人超のインスタグラマーである原告が、氏名不詳者らにより、自身がインスタグラムに投稿した写真を電子掲示板に無断で転載されたとして、経由プロバイダである被告NTTコミュニケーションズ及び被告イッツ・コミュニケーションズに対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた事案である。原告の写真は、原告に関する誹謗中傷を含む多数の書き込みがなされたスレッドに投稿されたものであり、原告は著作権(複製権及び公衆送信権)及び肖像権の侵害を主張した。被告イッツコムに対する請求は選択的併合の関係にある。 【争点】 1. 権利侵害の明白性(著作権侵害及び肖像権侵害の成否) 2. 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無 被告NTTコムは、原告が多数のフォロワーを持つインスタグラマーであることから、投稿は適法な引用(著作権法32条1項)に該当し、肖像権侵害も社会生活上の受忍限度を超えないと主張した。被告イッツコムは、原告写真の著作物性を争うとともに、原告が自ら肖像をインターネット上で公表しており肖像権を放棄したと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告写真について、被写体の組合せ・選択・配置、構図及び撮影方法を工夫してシャッターチャンスを捉えて撮影されたものであり、著作物性を認めた。適法な引用の成否については、各投稿が原告に関する誹謗中傷を含むスレッドに投稿されたものであること、出典が記載されていないこと、書き込み自体が短く投稿に占める写真の割合が小さくないことから、公正な慣行に合致せず、引用の目的上正当な範囲内で行われたものともいえないとして、適法な引用には当たらないと判断した。その上で、原告写真と同一の写真画像の投稿により、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明白であると認定した。発信者情報の開示を受けるべき正当な理由も認め、被告NTTコムに対する請求を全部認容し、被告イッツコムに対する請求のうち著作権侵害が認められた投稿に係る発信者情報の開示請求を認容した。肖像権侵害の点については判断するまでもないとした。