AI概要
【事案の概要】 原告は、「留置針組立体」に関する特許(特許第6566160号)の特許権者であり、請求項2及び3について訂正審判を請求したが、特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」との審決をした。本件訂正は、係止片が「弾性変形可能」であること等を追加する減縮訂正であったが、特許庁は、訂正後の発明(本件訂正発明)が先願である甲6発明(特開2017-196060号、被告補助参加人による出願)と特許法29条の2(拡大先願)の規��により実質同一であり、独立特許要件を満たさないとして訂正を認めなかっ��。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した。 【争点】 本件訂正発明と甲6発明との相違点2(小径部の外周面に凹部を設け肉厚寸法を小さくする構成の有無)が実質的な相違点といえるか。具体的には、本件訂正発明の小径部の凹部が、樹脂成形における周知技術である「肉盗み」(肉厚寸法を小さくしてエアの混入を防止する技術)を適用したものであり、甲6発明にはない技術的意義を有する構成であるか否かが争われた。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。裁判所は、まず特許法29条の2��「同一であるとき」の判断につき、後願発明が先願発明とは異なる新しい技術に係り新たな効果を奏するか否かの見地から判断すべきであり、差異が単なる課題解決の具体化における設計上の微差で新たな効果を奏しないものであれば実質同一であるとの判断枠組みを示した。その上で、相違点2について、(1)本件訂正発明では小径部の肉厚寸法が具体的に特定されておらず、拡開部の内部空間の形状も特定されてい���いため小径部の肉厚が不明であること、(2)凹部の形状・大きさ・深さ等に特段の指定がなく、肉盗みの凹部に限らずデザイン上の凹部や落とし込みの凹部も排除されていないこと、(3)肉盗みの技術は肉厚の均一化を目的とするところ、本件��5の凹部は肉厚が急激に変化する段差を形成しており肉盗みと整合しないこと、(4)小径部に不必要な厚肉部分があるかも不明であること等を認定し、本件訂正発明の凹部が肉盗みの技術を適���したものであると当業者が理解するとは認められないと判断した。結局、凹部の有無は設計上の微差又は技術的に意味のない外形上の微差にすぎず、本件訂正発明と甲6発明は実質同一である��して、審決の判断に誤りはないと結論づけた。