小松基地戦闘機離着陸差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 航空自衛隊小松基地(小松飛行場)の周辺に居住する住民ら(一審原告ら)が、同基地に離着陸する自衛隊機及び米軍機の発する騒音等により被害を受けているとして、国(一審被告)に対し、①人格権等に基づく自衛隊機及び米軍機の離着陸等の差止め及び音量規制(午後6時から翌午前7時等の飛行禁止、70ホン超の騒音の到達禁止)、②国家賠償法2条1項に基づく損害賠償(訴え提起前3年間の慰謝料及び弁護士費用、並びに差止めがなされるまでの将来の月額慰謝料)を請求した事案である(いわゆる小松基地騒音訴訟第5・6次訴訟)。原審は、自衛隊機の差止請求を不適法として却下し、米軍機の差止請求を棄却し、将来分の損害賠償請求に係る訴えを却下した上で、過去分の損害賠償請求の一部を認容した。双方が控訴し、一審原告らは当審でB期間の弁護士費用の支払請求を追加し、一審被告は附帯控訴をした。 【争点】 ①自衛隊機の運航等の差止請求に係る訴えの適法性、②米軍機の運航等の差止請求の当否、③航空機騒音による健康被害の共通損害としての認定の可否、④本件飛行場の公共性・公益性の受忍限度判断における評価、⑤慰謝料額の相当性(基準月額、住宅防音工事による減額、弁護士費用)、⑥移転の補償等を受けて第一種区域内に転居した者の損害賠償請求の可否、⑦将来の損害賠償請求に係る訴えの適法性。 【判旨】 控訴審は、概ね原審の判断を維持しつつ、以下のとおり判断した。差止請求については、自衛隊機の運航に関する防衛大臣の権限行使は周辺住民に騒音の受忍を義務付ける公権力の行使に当たるとして、民事訴訟による差止めは不適法であるとし、米軍機については、日米地位協定により米軍提供区域の管理運営権限は米国に委ねられているとして差止請求を棄却した。損害賠償請求については、告示W値75以上の区域に居住する一審原告らとの関係で国賠法2条1項の設置管理の瑕疵を認め、過去分の慰謝料及び弁護士費用を認容した。慰謝料の基準月額はW値に応じて算定し、住宅防音工事の実施状況に応じた減額を行った。航空機騒音による健康被害については、疾病等が生じる相当程度の危険性があるとまでは認められないとしたが、ストレス等の生理的・心理的現象は精神的苦痛に伴う慰謝料の中で考慮されているとした。移転の補償等を受けて第一種区域内に転居した一審原告ら6名については、信義則に照らし移転後の損害賠償額の3割を減額した。将来の損害賠償請求については、航空機騒音に係る最高裁判例の趣旨が本件にも妥当するとして不適法とした。一審被告の附帯控訴については、原審口頭弁論終結日翌日から当審口頭弁論終結日までの損害賠償請求を棄却する限度で理由があるとした。