AI概要
【事案の概要】 原告は、「B競馬予想ch」というYouTubeチャンネルで自ら撮影・編集した競馬予想動画を配信していた者である。氏名不詳の発信者(以下「本件発信者」)は、原告の動画を抜粋した2本のダイジェスト動画をツイッターに投稿するとともに、別のウェブサービス(note)上で原告の動画が「後撮りの台本動画」であると批判する記事を掲載し、当該記事内に上記ツイッター投稿を表示させた。原告と本件発信者は、note記事の削除等を内容とする合意をしたが、ツイッター上の投稿に関する発信者情報開示請求や損害賠償請求権の清算は合意の対象外であった。原告は、電気通信事業者である被告(ソニーネットワークコミュニケーションズ)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、ツイッター投稿に係る発信者情報の開示を求めた。 【争点】 ①権利侵害の明白性(本件各投稿動画がnote記事における適法な「引用」に当たるか)、②開示関係役務提供者該当性(投稿後のログインに係るIPアドレスから把握される発信者情報が開示対象となるか)、③正当な理由の有無(先行するnote記事に関する合意の存在が本件開示請求の正当性を否定するか)。 【判旨】 請求認容。争点①について、裁判所は、本件各投稿動画はツイッターにアップロードされたものであり、note記事とはリンクで関連付けられているにすぎず、ツイッター上の投稿はそれ自体が独立に閲覧の対象となることを予定するサービスであるとした。そのため本件各投稿動画はnote記事とは独立に公衆送信されており、適法な「引用」とはいえないと判断した。また、仮に本件各投稿と一体的に把握するとしても、投稿には動画内容の批評や出所明示、note記事へのリンクも存在しないことから、いずれにしても適法な引用の要件を満たさず、原告の著作権(公衆送信権)の侵害は明白であるとした。争点②について、ログイン時の通信に係る発信者情報は、侵害情報の送信との時間的接着性がなくても、当該アカウントにログインした者が権利侵害に係る情報を送信したと認められる場合には「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するとし、被告は開示関係役務提供者に当たると判断した。争点③について、本件合意はnote記事の削除と仮処分取下げに関するものにすぎず、ツイッター投稿に係る発信者情報開示請求をしない旨の合意は含まれていないこと、両投稿は名義も異なること、損害賠償請求権の清算条項もないことから、本件開示請求は合意を潜脱するものではなく、正当な理由があると認めた。