AI概要
【事案の概要】 原告(フランス国パリに本拠を有するアパレルブランド「IRO」の運営会社)は、第14類(宝飾品等)、第18類(革製品・ハンドバッグ等)、第25類(被服・履物等)を指定商品とする「IRO」の商標権者である。いずれの指定商品にも「フランス製の」という限定が付されていた。被告は、商標法50条に基づき、本件商標の全指定商品について不使用取消審判を請求した。特許庁は、本件商標の登録を取り消す旨の審決をしたため、原告がその取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 原告が使用していた商品(被服等)が、指定商品である「フランス製の被服」等に該当するか否か。具体的には、フランス国パリでデザイン・企画・品質管理が行われているものの、実際の縫製・製造はフランス国外のサプライヤーが行っている商品が「フランス製の」被服等といえるかが争われた。原告は、国際的なアパレル業界の取引実情、商標法50条の制度趣旨、商標審査便覧の解釈、特許庁の審査実務の一貫性等を根拠に、本件使用商品は「フランス製の被服」に該当すると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、商標法50条2項により、商標権者が登録取消しを免れるためには指定商品と「同一」の商品についての使用を証明しなければならず、類似する商品についての使用では足りないことは文理上明らかであるとした。次に、使用する商標については「社会通念上同一と認められる商標」で足りるが、商品については同旨の定めがないため、「指定商品と社会通念上同一と認められる商品」での使用を証明しても登録取消しを免れることはできないと判示した。そして、「フランス製」とはフランス国内で製造された物を意味するところ、本件使用商品はフランス国外で製造されたものであるから、本件指定商品について本件商標を使用したとは認められないとした。原告の商標法50条の趣旨に基づく主張については、本件使用商品がフランスで企画等がされた被服等であって「フランス製の」被服等と著しく類似するから、登録を取り消すことはいささか酷であるとも認めつつ、同条2項の文理上、指定商品を拡張解釈することは認められないと結論づけた。