所得税及び復興特別所得税更正処分等取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3行コ256
- 事件名
- 所得税及び復興特別所得税更正処分等取消請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年3月24日
- 裁判官
- 中山孝雄、遠藤東路、日暮直子
AI概要
【事案の概要】 控訴人ら(養母である亡Dから相続により土地を取得した相続人2名)は、相続した土地に借地権を設定した対価として受領した権利金に係る所得を分離課税の長期譲渡所得として平成27年分の所得税等の確定申告をした。これに対しA税務署長は、租税特別措置法39条1項の適用により取得費に加算される相続税額(取得費加算額)の計算に誤りがあるとして、それぞれ更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。控訴人らは、本件各更正処分の一部及び本件各賦課決定処分の取消しを求めて提訴したが、原審(東京地裁)で請求がいずれも棄却されたため、控訴した。 【争点】 1. 措置令25条の16第1項2号の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」との文言が課税要件明確主義に反するか 2. 相続税の調査担当職員が、所得税に関する代理権限を有しない税理士の面前で所得税に関する情報を提供したことが重大な守秘義務違反に当たり、本件各更正処分等の取消原因となるか 3. 本件各更正処分に行政手続法14条1項本文所定の理由の提示の不備があるか 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は、原判決を引用した上で、控訴人らの当審における補充主張についてそれぞれ判断を示した。 争点1について、措置法39条1項(取得費加算の特例)の趣旨は、相続税と譲渡所得税が相次いで課されることによる納税者の負担の調整を図る政策的特例であり、同条の趣旨及び平成26年度税制改正の経緯に照らせば、措置令25条の16第1項2号の文言は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額のうち当該譲渡をした相続財産に対応する部分の価額を意味することが一義的に明確であるとした。処分庁が審査請求時に更正処分時と異なる計算根拠を主張したことがあるとしても、文言の明確性を左右しないと判断した。 争点2について、税務調査の手続の瑕疵が更正処分に影響を及ぼすのは、調査の手続が刑罰法規に触れ、公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を超えて濫用にわたる等の重大な違法を帯びる場合に限られるところ、相続税調査担当職員の説明は、相続税額の変動に伴い譲渡所得の取得費加算額にも変動が生じるという税理士にとって明らかな事項に関するものであり、控訴人らも税理士の立会いに異議を述べていなかったことなどから、重大な違法があったとは認められないとした。 争点3について、本件各更正処分の通知書には、適用法規、計算過程及び具体的金額が記載されており、処分の相手方がいかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して処分がされたかを了知し得る程度の理由の提示がなされていると認められ、理由付記に不備はないと判断した。