AI概要
【事案の概要】 被告人は、日本最大規模の教育機関である学校法人の理事長であった者である。被告人は、自ら主導して同学校法人の全額出資により設立した会社を通じ、同法人の各種業務を受注している関係業者等から、取引で利益を得ていることへの謝礼等の趣旨で多額の現金を受領していた。被告人は、これらのリベート収入等を殊更に所得金額から除外し、実際の所得金額よりも過少な所得税及び復興特別所得税の確定申告を行う方法により所得を秘匿した。具体的には、平成30年分について実際所得金額が約6887万円であったにもかかわらず約5887万円と過少申告し所得税約448万円を免れ、令和2年分について実際所得金額が約1億6737万円であったにもかかわらず約5917万円と過少申告し所得税約4785万円を免れた。ほ脱所得額は合計約1億1820万円、ほ脱税額は合計約5233万円に上る。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役1年及び罰金1300万円に処し、懲役刑につき3年間の執行猶予を付した(求刑:懲役1年及び罰金1600万円)。量刑理由として、裁判所は以下の事情を考慮した。不利な事情として、ほ脱税額が合計5233万円余りと少なくないこと、受領した現金を自宅で保管し妻に所得除外の確定申告を指示して税理士事務所への対応をさせるなど大胆な手口であること、平成27年にも税務調査で申告漏れを指摘された前歴がありながら関係業者からの謝礼受領の発覚を避けるために犯行に及んだもので動機が身勝手であること、日本最大規模の教育機関の理事長という立場にある被告人の犯行が適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影響も軽視できないことを指摘した。他方、有利な事情として、被告人が事実を認め修正申告を行い本税を納付していること、本件を契機に理事長を含む学校法人関連の役職を全て辞していること、前科がないことを考慮した。