著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 食品の企画・販売を業とする原告が、同業の被告に対し、原告が著作権を有するスティック春巻の商品パッケージ用写真(原告写真)について、被告が商品ラベルシールに使用した写真が原告の著作権(複製権・翻案権・譲渡権)を侵害するとして、著作権法112条に基づく差止め・廃棄、及び不法行為に基づく損害賠償約592万円を求めた事案である。被告ラベルシール1・2については、原告がデザインを委託した印刷会社(朋社)が、原告写真の画像データを無断で流用して被告の商品パッケージを制作したものであり、被告もその事実を認めていた。被告は警告書受領後3日で当該ラベルシールを全て焼却処分し、新たに自ら又は第三者に委託して撮影した写真を用いた被告ラベルシール3に差し替えた。原告は、この差し替え後の被告写真3も原告写真の複製又は翻案に当たると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)被告写真3が原告写真に係る著作権を侵害するか(複製又は翻案の成否)、(2)被告ラベルシール1・2に関する差止め及び廃棄の必要性、(3)故意又は過失の有無、(4)損害額であった。中心的な争点は、原告写真と被告写真3の間に認められる6つの共通点(春巻の交差配置、斜めカットによる断面の見せ方、白色無地の皿の使用、斜めからの撮影アングル、斜め逆光による陰影、野菜の配置)が創作的表現といえるかであった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、被告写真3について、原告写真との共通点a〜fをそれぞれ個別に検討した上で、いずれもありふれた表現であり創作的表現とは認められないと判断した。具体的には、(a)スティック春巻を数本ずつ交差させる配置は「重ね盛り」として一般的、(b)断面を大きく見せるための斜めカットは春巻の形状上一般的に採用される手法、(c)白色無地で料理にフィットする皿の使用は料理写真の基本、(d)斜めからの撮影は料理写真の標準的構図、(e)斜め逆光による立体感の演出は最も一般的なライティング手法、(f)揚げ物に野菜を添える配置は一般的、とそれぞれ認定した。これらを全体として観察しても創作的表現が共通するとは認められず、被告写真3は原告写真の複製にも翻案にも当たらないとした。被告ラベルシール1・2については、被告が既に全て焼却処分しており、被告の対応に不誠実な点もないことから、差止め及び廃棄の必要性も認められないとした。