著作権侵害等に基づく発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 アニメーターである原告ら(夫婦)が、ツイッター上で氏名不詳者により、原告Aが著作権を、原告Bが著作権法28条に基づく原著作者の権利をそれぞれ有する画像(原告Aが焼肉店での写真に指でイラストを描いて作成し、プロフィール画像として使用していたもの)を含むスクリーンショットが無断でツイート投稿されたことにより、送信可能化権が侵害され、かつ原告Aの名誉が毀損されたことが明らかであると主張して、経由プロバイダである被告TOKAIコミュニケーションズ及び被告NTTドコモに対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき発信者情報の開示を求めた事案である。 【争点】 (1) 原告らの権利侵害の明白性(本件各ツイートの投稿による著作権〔送信可能化権〕侵害及び名誉毀損が明らかか。被告らは、プロフィール画像の著作物性を争うとともに、スクリーンショットの引用該当性や黙示の利用許諾を主張した) (2) 本件発信者情報が「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか(ログイン時の情報が侵害情報の発信に係る情報といえるか) (3) 被告らが「開示関係役務提供者」に該当するか(被告らの電気通信設備が侵害情報の流通に供されたか) (4) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無 【判旨】 裁判所は、事案に鑑み争点(3)から判断した。プロバイダ責任制限法の趣旨が発信者のプライバシー・表現の自由・通信の秘密に配慮して厳格な要件を定めたものであることから、「開示関係役務提供者」に該当するためには、当該特定電気通信役務提供者が用いる特定電気通信設備が侵害情報の流通に供されたことが必要であると解した。 被告TOKAIについては、本件発信者情報1に係るログインが本件ツイート1の投稿から7時間余り後及び48日余り後のものであること、投稿時刻である8時台(UTC)にTOKAIのドメインによるログインが見当たらないこと、投稿直前のログインがamazonaws.comドメインであったこと等から、TOKAIの電気通信設備が投稿に供されたとは認められないとした。被告ドコモについても、本件発信者情報2に係るログインが本件ツイート2の投稿の16日余り前のものであり、その間に他のドメインによるログインが相当回数繰り返されていたこと等から、同様に開示関係役務提供者に該当しないとした。 原告らの、いずれかの経由プロバイダの設備を用いて投稿されたことが明らかであれば立証責任を緩和すべきとの主張についても、プロバイダ責任制限法の厳格な要件の趣旨に反するとして排斥した。 以上により、その余の争点について判断するまでもなく、原告らの請求をいずれも棄却した。