発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は漫画家・イラストレーターであり、令和2年6月頃、バーチャルYouTuber事務所「ホロライブ」を運営するカバー社との間で、「ホロライブ・オルタナティブ」に関する長期的・継続的な漫画制作業務の契約を締結したが、令和3年2月22日に同契約は終了した。氏名不詳の投稿者(本件投稿者)は、同日、被告(エックスサーバー株式会社)が管理するサーバを使用したウェブサイト上に、原告がカバー社との報酬交渉で揉めた旨の掲示板投稿を転載し、「金でもめたってことやな」等のコメントを付した記事を投稿した。原告は、当該投稿により名誉権・名誉感情及び著作権等が侵害されたことは明らかであるとして、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた。 【争点】 1. 名誉権及び名誉感情侵害の明白性 2. 著作権侵害の明白性(著作物性の有無、引用該当性) 3. 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無 【判旨】 裁判所は、原告の請求を認容した。 名誉権侵害について、本件記事の投稿内容は、一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すると、原告がいったん成立した契約内容の条件変更を求め、それが聞き入れられないと激怒し、合理的な理由なく一方的に相手方を非難する理不尽な人物であるとの印象を与えるものであり、原告の社会的評価を低下させ、社会通念上許容される限度を超えて原告を侮辱するものと認定した。 違法性阻却事由については、本件契約が解消された原因はカバー社の都合によるものであり、投稿内容が摘示する事実はその主要な部分において真実とは認められないと判断した。また、原告とカバー社との私的契約のトラブルに関するものであり、社会的関心事であることを考慮しても公共利害関係性の要件を充足しないとした。 発信者情報開示の正当理由については、原告が本件投稿者に対し不法行為に基づく損害賠償等を求めることを予定していることから、正当な理由があると認めた。以上から、著作権侵害の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由があるとして全部認容した。