共有持分権確認請求事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3受919
- 事件名
- 共有持分権確認請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2022年4月12日
- 裁判種別・結果
- 判決・破棄差戻
- 裁判官
- 宇賀克也、戸倉三郎、長嶺安政
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 権利能力のない社団である原告(町内会)が、被告(別の町内会)に対し、ある建物(本件建物)について原告が共有持分権を有することの確認を求めて訴えを提起した事案である。本件建物は、建築時に原告・被告を含む3つの町内会の間で、3町内会の共有とする旨の合意(本件合意)がされたと原告が主張していた。第1審では本件合意の存否が争点とされ、合意があったと認定して原告の請求を認容した。被告が控訴し、控訴審でも当事者双方は専ら本件合意の存否について主張立証を行い、原告が共有持分権の主体となり得るかという点は一切問題にされなかった。ところが、控訴審(東京高裁)は、権利能力のない社団である原告は所有権等の権利主体となることができないとして、当事者が争っていない理由により原告の請求を棄却した。原告が上告受理を申し立てた。 【争点】 権利能力のない社団による共有持分権確認請求について、裁判所が当事者に釈明権を行使せずに請求を棄却したことの適否。具体的には、当事者双方が専ら共有合意の存否のみを争点としていた状況で、控訴審が職権で権利能力の問題を取り上げ、請求の趣旨について釈明を求めることなく直ちに棄却したことが違法か否か。 【判旨】 最高裁は原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。判旨の要旨は以下のとおりである。権利能力のない社団がその名において取得した資産は、構成員全員に総有的に帰属するものである(最判昭和39年10月15日参照)。本件では、当事者双方とも上記判例と異なる見解に立っていたとはうかがわれず、原告の請求は、本件建物の共有持分権が原告の構成員全員に総有的に帰属することの確認を求める趣旨であると解する余地が十分にあった。したがって、控訴審は、共有持分権が原告自体に帰属することの確認を求めるものであるとして直ちに棄却するのではなく、原告に対し、請求が構成員全員への総有的帰属の確認を求める趣旨であるか否かについて釈明権を行使する必要があった。釈明権の行使を怠った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとして、全員一致の意見で原判決を破棄し差し戻した。本判決は、権利能力のない社団の財産帰属に関する確立された判例法理を前提に、裁判所の釈明義務の範囲を明確にした点で実務上の意義がある。